レディオモモ「まかせて相続」(令和元年7月18日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
今日は、今月の1日に各国税局から令和元年分の「財産評価基準書」が公表されましたので、「財産評価基準書」についてお話ししたいと思います。
財産評価基準書(ざいさんひょうかきじゅんしょ)とは、どのようなことが記載されているのでしょうか。
財産評価基準書は、相続税や贈与税を計算する際の財産評価の基準となる、路線価、倍率、各種割合などが記載されています。
路線価の公表については、新聞やテレビでご覧になった方もいらっしゃると思います。
岡山県の路線価が2年連続上昇とか、各税務署の最高路線価が報道されていましたね。
路線価は、財産評価基準書の中に載っているんですね。
はい。インターネットがない昔は本として、各税務署の窓口にありましたが、今はホームページから、また、税務署の窓口はパソコンで閲覧できます。
財産評価基準書の内容としては、土地関係では、路線価が載っている路線価図、固定資産税評価額に乗ずる倍率が載っている倍率表。倍率表は、宅地・田・畑・山林などの一般の土地のほか、大規模工場用地、ゴルフ場用地などもあります。
それから、その他の土地関係で、宅地造成費の金額表、鉱泉地・雑種地・耕作権・占用権などの評価方法。
次に、土地関係以外のもので、借家権割合、森林の立木標準価額表、電話加入権の評価額、農業投資価格の金額表。
最後に参考として、家屋の固定資産税評価額に乗ずる倍率、伐採制限等を受けている山林の評価方法、が載っています。
皆さんがよくご覧になるのは、路線価図と一般の土地の倍率表だと思います。
路線価図と一般の土地の倍率表は、どのような違いがあるのでしょうか。
路線価図には、地図の道路部分に相続税や贈与税を計算する際の1平方メートル当たりの宅地の単価が載っています。評価する際は、その単価が基準となります。
それから、倍率表には、宅地・田・畑・山林などの固定資産税評価額に乗ずる倍率が、五十音にならんだ町名こどに載っています。固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した金額が、相続税や贈与税を計算する際の評価額となります。
路線価図と一般の土地の倍率表、どちらで計算すれば良いのでしょうか。
1つの宅地を評価する際、路線価方式の地域か倍率方式の地域か、どちらかになります。
調べ方としては、先ず倍率表を見て、倍率が載っていれば倍率を乗じて評価します。路線価で評価する地域であれば、倍率が載っているところに、「路線」と記載されていますから、次に路線価図を見て1平方メートル当たりの単価を調べるという流れになります。
路線価で評価する地域は、どのような地域となるのでしょうか。
国税庁の通達では、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式となっています。なので、いわゆる時価が高い、都市部又は中心部は、路線価で評価する地域となります。
ちなみに、各税務署が管轄する地域には必ず路線価で評価する地域があります。
ですから、都市部の税務署と地方の税務署では、路線価方式の範囲は、都市部の税務署の方が広範囲となります。
路線価で評価する地域に、田や畑がある場合はどうなるのでしょうか。
多くの方が、この田や畑、山林の評価に悩まれます。
倍率表を見ると「市比準」(しひじゅん)と記載されています。
この「市比準」は、倍率方式の地域にもあります。
先ほど評価方法として、路線価方式と倍率方式のお話しをしましたが、この「市比準」は宅地比準方式により評価しなさいという意味です。
宅地比準方式とは、評価する農地や山林が宅地であるとした場合の価額から、その農地や山林を宅地に転用するためにかかる「造成費相当額」を控除した金額により評価する方法です。
宅地比準方式で評価する場合も「財産評価基準書」に何か載っているのでしょうか。
はい。先ほどは触れませんでしたが、財産評価基準書のその他の土地関係に載っている「宅地造成費の金額表」を見て宅地の価額から控除する「造成費相当額」を計算することになのます。
計算方法は、平坦地と傾斜地の二通りあります。
ちょっと分かり難いかもしれませんが、平坦地の場合は、擁壁の費用と土盛の費用と整地費用の合計が造成費の金額です。
擁壁と整地は1平方メートル、土盛は1立方メートルの単価が「宅地造成費の金額表」に載っています。なので、擁壁をするとした場合の擁壁の総面積、土盛をするとした場合の総体積を、先ず計算しないといけません。
次に、傾斜地の場合は、傾斜角度によって宅地造成費の単価が定められていて、その宅地造成費の単価に面積を乗じることで、造成費の金額が計算されます。これは、傾斜角度を測定しないといけません。
宅地比準方式で評価する場合は、なかなか大変な作業になりますね。
はい、そうなんです。
色んな状況の農地山林がありますから、造成費相当額の計算も同じものはありません。宅地の価格より造成費相当額の方が高くなったりすることもあります。
悩まれたら、早めに専門家への相談をお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。