FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(2020年1月17日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に際し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、本日はどんなお話をしてくださいますか。
本日は、確定申告の時期も近づいてきましたので、確定申告に関連する「準確定申告」についてご説明したいと思います。
「準確定申告」ですか。初めて聞きますが、どういった申告になるんですか。
はい。「準確定申告」とは、納税者が年の中途で亡くなった場合、その方の相続人が亡くなった方の1月1日から亡くなった日までに確定した所得金額と税額を計算して、亡くなった日から4か月以内に申告と納税をすることをいいます。
そして、この「準確定申告」で計算された税額は、相続税にも影響があるんです。というのも、この税額はそもそも亡くなった方が納めるべき、あるいは還付を受けるべきものなので、相続財産又は債務となるんです。
ですから、この相続税の申告をする人で「準確定申告」をする必要がある人は、相続税の申告期限までに漏れなく「準確定申告」を済ませ、相続税の計算にその確定した税額を反映させるよう留意してください。
なるほど、「準確定申告」と「相続税申告」にはそういうつながりがあるんですね。
はい、そうなんです。では、その「準確定申告」の手続きと留意点などを説明したいと思いますが、まずは「所得税」について、これは皆さんご存じの方も多いと思いますが、「所得税」は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっており、これを「確定申告」と呼んでいます。
「確定申告」は私ももちろん知っています。
はい。余談ですが、今年度の「確定申告」は、2月16日と3月15日が日曜日なので、2月17日月曜日からスタートし、3月16日月曜日までとなっていますので、気をつけていただけたらと思います。
そうなんですね。でも、やはり申告と納税はお早めに!ですよね。
そうですね。ギリギリになると税務署も込み合いますので、なるべく早めに手続きを済まされた方がいいと思います。
「準確定申告」に話を戻しますと、申告期限は亡くなってから4か月以内となっていますが、これは納税をする場合には必ず守っていただきたいんですが、還付、つまり税金が戻ってくる申告の場合は4か月を過ぎても大丈夫です。
ただ、先ほども言ったように、相続税の申告をする人の場合は、相続税の申告期限までには必ず申告を済ませていただき、その還付額を相続財産として計上していただく必要がありますので、早めに手続きをしてください。
「準確定申告」もお早めに!ということですね。
はい、お願いします。また、亡くなった方に相続人が2人以上いる場合、各相続人が準確定申告用の「確定申告書の付表」に、氏名、住所、被相続人との続柄などを記載して、確定申告書とともに提出します。
この時に、支払う税金は誰がいくら負担するのか、又は還付を受ける税金は誰がいくら受け取るのか、つまりその分割割合も決めて記載することとなっていますので、この点の話し合いも早めに進めておくようにしてください。
なるほど、そういうことを聞くと、相続財産の一部ということをより感じますね。
そうですね。この「準確定申告」は、亡くなる日までの所得税の精算ですので、それまでの収入状況はもちろん、保険料控除や医療費控除、扶養控除などの適用も受けることができます。
収入については、年金や給与などの源泉徴収票が必要な方は、役場や勤務先に連絡して、申告するまでに、亡くなった日までの源泉徴収票を提供してもらうようにしてください。
また、不動産所得や事業所得がある方は、亡くなる日までの収支を整理し、収支内訳書を作成する必要があります。
そうなると、申告の準備に早く取り掛からないと、4か月はあっという間に過ぎてしまいそうですね。
はい、その通りです。そして、所得控除関係ですが、まず、保険料控除などは、これも亡くなる日までの控除額証明書を保険会社などから取得する必要があります。
また、医療費控除についてですが、その対象となるのは、亡くなる日までに被相続人が支払った医療費ですので、亡くなった後に相続人が支払ったものは医療費控除の対象にはなりません。
ですが、被相続人に係る医療費を亡くなった後に相続人が払ったものは相続税の中で債務として計上することができますので、領収書などはしっかり保管しておいて、整理して活用してください。
なるほど、ここでも「準確定申告」と「相続税」が関連していることがよく分かりますね。
はい。そして、配偶者控除や扶養控除についてですが、これも亡くなった日時点で控除の要件に該当しているかどうかにより判断します。
ただ、控除要件の1つである「年間所得金額が38万円以下であること」については、年間の見積額で判断していただくことになります。
見積額ですので、その後、予定していなかった偶発的な所得が発生した場合には控除の適用には影響しませんが、就職するなど、収入を得ることがある程度予定されているような場合には控除対象外となり、修正申告をしていただく可能性もありますのでご注意ください。
控除対象者の年間所得金額の見積りをする時には注意が必要ということですね。
はい。また、参考までにこういうケースもありますのでご紹介しておきますと、父と母と子供の3人同居の家族で、母は専業主婦で収入がないため父の配偶者控除の対象となっていますが、子供は会社勤務で収入があるため扶養にはなっていません、というケース。
父の「準確定申告」において配偶者控除の対象となっていた母は、その後も収入がなく、子供が扶養することとなった場合には、同年中でも子供が母を扶養控除の対象として計算することができます。
つまり、父の「準確定申告」と子供の「確定申告」で母の扶養を重複適用することができるということです。
えーっ、そうなんですね。
はい。これは、控除要件を判定する時点が、「準確定申告」は亡くなった日、「確定申告」はその年の12月31日となっているため、控除要件を満たせば、どちらの扶養にもなれるということなんです。
なるほど、そういうことなんですね。
はい。当所では、相続税の申告依頼をいただいたお客様が「準確定申告」をする必要がある場合にはもちろん対応しておりますので、安心してお任せいただければと思います。
寺尾さん、本日もありがとうございました。