Q.死亡の夫の口座凍結預金引き出せますか
先日、夫が亡くなりました。これからの生活費のため、夫の預金を引き出そうとしましたが、口座が凍結されていました。手元のお金の余裕がなく困っています。何かよい方法はありますか。
A.
亡くなった夫(被相続人)の預貯金は、妻や子ども(相続人)の遺産分割が終わらなければ、相続人の判断だけで引き出すことができませんでした。しかし、夫に先立たれた妻が当面の生活費に困るケースがあります。このほか、葬儀の費用をはじめ、夫が亡くなる前に入院していれば病院への支払いなども大きな負担になります。
こうした「事実上の不都合」を解消するために民法が改正され、「遺産分割前における預貯金の払い戻し制度」ができました。そのため、昨年7月から、遺産分割をする前でも、被相続人の預貯金の一定金額については金融機関から払い戻しを受けることができるようになりました。その際、家庭裁判所の判断がなくてもいいとされています。
では、一定金額とはどのくらいなのでしょう。
計算方法が決められています。相続の開始時に被相続人が取引をしていた金融機関の預貯金残高の3分の1に、払い戻しを求める相続人の法定相続分を掛けた金額になります。例えば、銀行に普通預金3000万円、定期預金600万円があり、相続人の妻と長男のうち、妻が払い戻しを求める場合で計算してみましょう。
普通・定期預金それぞれから50万円と100万円の計150万円を引き出せます。この制度で気を付けてほしいのは、払い戻しに限度額があることです。一つの金融機関で150万円までとなっています。
<2020年3月2日 中国新聞掲載>