FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年4月16日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。
本日は、相続税の申告のために必要な手続きについてご案内したいと思います。
相続税の申告期限は10か月ですから、その間にしないといけない事、ですね。
はい、そうです。まずは、遺言書の有無を確認します。
亡くなられた方が、生前に遺言書を作っていることや、保管場所などを家族に知らせていればそんなに困ることはないと思いますが、そうでない場合は、遺言書を作成していなかったかどうかを確認することから始まります。
遺言書には、大きく分けて、公正証書遺言書と自筆証書遺言書の二つがあって、公正証書遺言書は公証人役場で確認します。自筆証書遺言書はご自宅の大事なものを保管する場所や銀行の貸金庫などで保管されている可能性がある他、昨年7月から法務局で保管できるようになりましたので、法務局で保管されていないか確認します。
公証人役場や法務局で確認する時に、どこに預けているか分からない場合はどうしたらいいですか。
そうですね。確かに、住所変更が多かったり、不動産の所在地がいろいろな所にある場合などは、どこの公証人役場や法務局に保管したか分からないですよね。
結論から言うと、全国の保管状況が検索できるようになっていますので、お住まいの最寄りの公証人役場や法務局で確認してください。
それは便利ですね。
次に相続人の確認をします。亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を本籍地から取得して、相続人を確認しますが、本籍地を変更している場合もあって、1か所では済まない場合もあります。
また、確認した結果、知らされていなかった前妻との子供がいたとか、認知した子供がいたという話もあり得ます。
そんなこともあるんですね。
そうなんです。相続人の数が変われば、基礎控除の額も変わってきますので、この相続人の確認は大切です。
そして、次に、財産と債務の確認をします。
一般的な財産としては、不動産と、有価証券や預金などの金融資産、生命保険などですが、みなし相続財産とか、未収金や還付金などの少額であっても財産となるものなど、知らないと計上を漏らしてしまいがちな財産もあります。
債務は、借入金とか未払金などで、亡くなられた方に支払義務があるものです。また、葬式費用も確認が必要です。
これは専門家の税理士さんに相談した方がいいですね。
そうですね。財産と債務が確認できたら、それらの評価額を確認する必要があります。評価の仕方は一般的に公表されていて、相続税法と財産評価基本通達に定められた評価方法で行いますが、これも相続専門の税理士にご相談されることをお勧めします。
相続専門の税理士さんとそれ以外の税理士さんでは違いがあるんですか。
例えば、お医者さんでも、内科、外科、眼科、歯科、皮膚科など、様々な専門医があるように、税理士にも得意とする分野があるんです。特に相続税は、臨時偶発的なものですから、法人税や所得税のように毎年継続的に申告があるものではないので、専門にしている税理士は少ないんですね。
そして土地の評価においては、現地を確認して測量したり、近隣の状況を見たり、傾斜や騒音を調べたりと、評価における減額要因を可能な限り把握することに努めて、最も評価額が低くなるようにするのですが、経験不足や知識不足があれば、そうした減額要因に気づかなかったり、見落としてしまったりして、高い評価で申告してしまうということもあるんです。
そうなると、相続人にとっては税金を多く払うことになりますよね。
そうなんです。そして税務署も評価が高いからといって、申告よりも税金が下がる場合には、評価が高いですよ~、直してくださいね~、とは言ってくれません。
そうですよね。逆に税金の支払いが少なかった場合は、すぐに、違ってますよ!と連絡がありそうなイメージがあります。
ですよね。財産と債務の総額が把握出来たら、遺産の分割協議をします。
遺言書がある場合にはそれによりますが、遺言書がない場合は相続人全員で協議し、遺産分割協議書を作成します。遺言書がある場合でも、相続人全員の同意で分割協議することもできます。
そうなんですね。
そして、いよいよ相続税の申告と納税です。被相続人が亡くなった日から10か月以内に申告と納税をすることになっていますが、所得税のように口座振替はできませんので、この間に納税資金の準備もしておく必要があります。
でも、もし10か月以内に分割がまとまらなかったらどうしたらいいんですか。
分割がまとまらなくても、期限の10か月は変わりませんので、その場合には、民法に規定されている法定相続分で財産を取得したものとして、相続税の計算をして、申告と納税をする必要があります。
ただし、この場合、分割がされたことを条件に利用できる、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地の特例といった税金が少なくなる特例が使えませんので、可能な限り期限内に分割がまとまるようにしていただきたいと思います。
税金が少なくなる特例が使えないということは、税金を多く納める必要があるということですか。
そうなんです。申告期限までに特例を使わない計算で算出した税額を納める必要があります。ただ、その申告書と併せて「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を提出しておくと、その後に分割が確定した場合、税務署にその旨の申請をすることで、特例を使うことができて、多く納めていた方は税金が戻ってきます。
なるほど、そういった手続きも専門家である税理士さんにご相談した方が良さそうですね。
寺尾さん、本日もありがとうございました。