レディオモモ「まかせて相続」(令和3年5月20日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんです。宜しくお願いします。さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
今日は、死因贈与(しいんぞうよ)についてお話したいと思います。
死因贈与(しいんぞうよ)は、贈与(ぞうよ)とは違うのでしょうか。
死因贈与とは、「私が死んだら長女にこの土地を与えます。」というように、生前中に交わした贈与契約のことです。いわゆる生前贈与と違うところは、財産の移転が死亡を条件としている点です。
税金の面でも違いがあります。
生前贈与は、贈与税の対象ですが、死因贈与は、遺贈に含まれるものとされているので、遺贈と同様に相続税の対象となります。
死因贈与は、相続税がかかるんですね。
はい、過去、弊社の無料相談でも相談がありました。その方は、贈与税の申告をしようとしていたので、贈与税ではなく、相続税がかかるかどうかを検討しないといけないですよとアドバイスしたことがあります。
ただ、財産が基礎控除以下だったので、相続税はかからなかったようです。
死因贈与と遺贈(いぞう)とでは、何が違うのでしょうか。
いくつか違いがあります。遺贈は、遺贈する方の判断で、自身の財産を誰に渡すのか決めることができます。遺贈者が一方的に行う意思表示と言えます。一方的な意思表示なので、遺贈でもらう方は、財産を受け取らないという選択ができます。それから、遺贈においては、遺言書が必ず必要です。
それに比べて、死因贈与は、贈与する方と財産を受け取る方の合意で成立する契約です。相続前だったら、遺贈と同じように財産所有者の意思で撤回することができますが、相続後となると、財産を受け取る方の意思だけで、受け取りを放棄することはできません。
それから、死因贈与は必ずしも書面を交わす必要はなく、口約束でも成立します。ですが、口約束の契約は相続後その事実を証明することは非常に困難です。トラブル防止のため、契約書などの書面を残しておくことが必要と言われています。
そのほかで何か違いはありませんか。
死因贈与の場合、負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)と呼ばれるものがあります。財産をもらう方に、義務や負担などの条件を負わせる契約です。具体的には、生前中に、死ぬまで同居することや、身の回りの介護をすることなどを条件とする場合です。
この負担付死因贈与の場合、相続前、財産をもらう方が、既にその負担を履行していた場合は、相続前であっても死因贈与契約を撤回することはできない、という判例があります。負担を履行したのに契約を撤回されるというリスクを取り除く解釈ですね。
遺贈と死因贈与を比べると、かかる税金で何か違いがありませんか。
相続税の計算は違いがありませんが、登記の際の登録免許税、取得後の不動産取得税で違いがあります。死因贈与は遺贈と比べて不動産を与える際の税率が高く設定されています。
財産をもらう方が、法定相続人以外の方であれば変わりません。登録免許税は2%、不動産取得税は4%の税率です。
しかし、財産をもらう方が、法定相続人である場合は、登録免許税は、遺贈の方が1/5の負担で済みますし、不動産取得税は、遺贈の場合は非課税です。不動産を死因贈与する場合は、検討が必要ですね。
遺贈とするか死因贈与とするかは、よく検討が必要ですね。
はい、そうですね。遺贈は遺言書の書き方、死因贈与は死因贈与契約書の書き方、それぞれポイントを押さえて作成する必要があります。悩まれることがあれば、早めに専門家へ相談されることをお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。