ラジオ出演

「贈与税」について③

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和2年4月17日)」に出演しました。

ラジオ出演内容

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に際し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!
税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、本日はどんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日も、先月に引き続き「贈与税」についてご説明したいと思います。

FM ちゅーピー

前回は、贈与税の課税方法、特に「相続時精算課税」についてご説明いただきました。

寺尾大介

はい、そうでしたね。今日は贈与税の特例制度についてご紹介したいと思いますので、相続税の生前対策として、ぜひご活用いただけたらと思います。

寺尾大介

まずは、配偶者間の贈与の特例です。これは「おしどり夫婦の特例」とも言われていますが、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産、つまりお住まいの家やその敷地、またはこれから住むための家を取得するための資金贈与をした場合には、基礎控除の110万円に加え、2,000万円までの配偶者控除という非課税の特例があります。

FM ちゅーピー

2,000万円が非課税になると、かなりの節税になりますね。

寺尾大介

はい、この特例は同じご夫婦の間では、一生に一度しか使うことができないこととされていますが、相続開始の3年以内の贈与加算には加えなくてもいいので、例えば、極端な話、ご主人が余命宣告を受けたのでこの特例を使って贈与を行い、その数日後にご主人が亡くなったとしても、相続税には加算する必要がないので、かなりの節税になる場合もあります。

寺尾大介

ただ、相続による名義変更では不動産取得税はかかりませんが、贈与の場合は課税されますので、この点も加味して有利不利を考える必要がありますし、贈与してもらった奥さんの方が先にお亡くなりになって、奥さんの相続税が増えた、という事例もありますので、よく検討されてからご活用ください。

FM ちゅーピー

なるほど、いい面ばかりではないということですね。

寺尾大介

はい、そうですね。この贈与の配偶者控除に関しては、もう1点、昨年の民法改正によって変更された点がありますのでお知らせしますと、相続財産の分割をする際の生前の遺産の先渡しである特別受益の額に、この配偶者控除の贈与財産は加算しなくてよいこととされ、これにより配偶者はより多くの相続財産を取得することができるようになりました。

FM ちゅーピー

民法改正も昨年よく聞いたワードですね。

寺尾大介

はい、民法改正についてもまた後日ご説明したいと思います。次に、住宅取得の際の贈与の特例です。この特例の概要は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅の取得や新築または増改築のための資金贈与を受けた場合に、一定金額まで贈与税が非課税になるというものです。この非課税の限度額は、購入される物件や購入時期などによって違ってきますので、国税庁のホームページなどでご確認いただけたらと思いますが、大きな違いとしては、省エネ住宅かどうかと、消費税が10%かどうかということです。

FM ちゅーピー

これから購入される方は、皆さん10%の消費税になりますよね。

寺尾大介

はい、業者から購入される場合はそうなりますが、個人所有の中古住宅を購入される場合はそもそも消費税が発生しませんので、該当しないことになります。

FM ちゅーピー

なるほど、そういうケースもあるんですね。

寺尾大介

はい、また、この特例を受けるための要件としては、贈与を受ける人は、贈与の年の1月1日において20歳以上で、その年の合計所得が2,000万円以下であること、贈与者の直系卑属であること、贈与を受けた資金をすべて取得対価として支払っていること、翌年3月15日までに原則居住開始することとされています。

寺尾大介

ここで注意が必要なのが、贈与者の直系卑属という点です。例えば、奥さんのお父さん、つまり義理のお父さんからの資金贈与にはこの特例は使えません。ただし、義理のお父さんと養子縁組を結んでいれば大丈夫です。

FM ちゅーピー

奥さんのお父さんから資金提供を受ける場合、奥さんがもらったものとして申告したらどうですか。

寺尾大介

その場合、不動産に奥さんの持分をつけることで、特例を受けることが可能となりますが、持分の設定は、それぞれの金額に応じたものとなるよう気をつける必要があります。もう一点気をつけなければいけないのが、期限内申告が要件ですので、申告をし忘れていた場合には特例を使うことができません。販売業者の中には、「住宅取得資金贈与には税金がかかりませんから、申告しなくていいですよ。」とお客さんに言っている事例もありましたので気をつけてください。

FM ちゅーピー

期限内に申告しないと特例は受けられないということですね。

寺尾大介

はい、そうです。また、この特例は、相続時精算課税や、所得税の住宅取得ローン控除ともセットで使うことができますので状況に合わせてご活用ください。そして、この住宅取得資金の贈与も相続開始の3年以内の贈与加算には加えなくてもいいことになっていますので、贈与者の相続税の節税に効果があります。

FM ちゅーピー

この特例はあまりデメリットを感じませんね。

寺尾大介

そうですね。この特例は、可能であればぜひ使っていただきたいものです。この他の特例としては、30歳未満の子や孫へ1,500万円までの「教育資金の一括贈与時の非課税」や、20歳以上50歳未満の子や孫へ、1,000万円までの「結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税」という特例があります。どちらも贈与を受ける子や孫の前年所得が1,000万円以下でなくてはならないという条件があります。

寺尾大介

また、これら贈与を受けた資金については金融機関等との資金管理契約に基づき信託財産として管理されて、目的以外のことには使用できないようになっており、教育資金は30歳、結婚・子育て資金は50歳に達した時には、使い残した金額に対して贈与税の申告が必要になることもあります。

FM ちゅーピー

これは単純に贈与というものではなくて、金融機関との契約が必要なんですね。

寺尾大介

はい、そうなります。また、契約期間中に贈与をした人が死亡した場合には、相続税の申告が必要となる場合もありますので、詳しくは国税庁のホームページなどでご確認してみてください。今日ご説明した贈与の特例は、それぞれに利用目的があったり、適用要件がありますので、すべての方にお使いいただけるというものではありませんが、制度の内容をしっかりと把握され、相続税の節税であったり、お子さん、お孫さんへの資金提供として有効にお使いいただけたらと思います。その際にご相談等ございましたら、当事務所の無料相談をぜひご利用ください。

FM ちゅーピー

寺尾さん、本日もありがとうございました。

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