FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年3月19日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に際し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!
税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、本日はどんなお話をしてくださいますか。
本日は、お客様からのご相談でもよく聞かれる、相続税と贈与税、どちらにした方がお得ですか?という疑問についてご説明したいと思います。
相続税は亡くなってからで、贈与税は生きているうちに財産をあげた時に税金がかかるんですよね。
はい、そのとおりです。ご家庭の状況や、財産内容によっても違うので、一概に損得を判断するのは難しいのですが、今日は一定の金額を設定して、それぞれどれくらいの税額になるのか紹介しながらご説明していきます。
はい、よろしくお願いします。
まず、先ほど萩原さんも言われたように、相続税は誰かが亡くなった時に発生する税金ですが、誰にでもかかる訳ではなくて、一定の金額を超えた場合にかかる税金です。
この一定の金額を基礎控除といって、計算式は、3,000万円プラス600万円×法定相続人数となっていますので、お父さんが亡くなって相続人は奥さんと2人の子供さんという場合には、3,000万円プラス600万円×3人の4,800万円が基礎控除となります。つまり、お父さんの財産が4,800万円を超えてなければ相続税はかからないということですね。
はい、相続税の基礎控除はよく聞きますので、覚えています。
ここで、例えば、お父さんの財産を1億円だったとして相続税の計算をすると、法定持分どおりの分割にした場合は、315万円の税額となります。これを、相続税を引き下げるために、2,500万円ずつ子供さん2人に生前贈与した場合、贈与税がいくらかかるでしょうか。
贈与税は税金が高いとよく耳にしますよね。いくらになるんですか。
まず、贈与税の場合、一般的な歴年課税と相続時精算課税という2つの課税方式があって、歴年課税というのは、1年ごとにもらった金額の合計から110万円の基礎控除を引いた後の金額に税率をかける方法です。
で、この時の税率が累進税率といって、10%から始まって、段階的に5%ずつ税率が上がっていき、最高税率は55%となっています。
55%というと、半分は税金で払うようになりますね。
2,500万円で贈与税がいくらになるか計算してみましょう。一般的な計算だと、2,500万円ひく110万円をすると、2,390万円で、この時の税率が50%と控除額が250万円ですので、税額は945万円となります。
うわぁぁぁぁぁぁぁ、1,000万円近くも税金で払うようになるんですね。
高いですよねぇ!補足として、今回のように親子間の贈与でもらった人が20才以上の場合は、特例贈与に該当して、税金が安くなりますので、こちらで計算してみますと、税率が45%、控除額が265万円ですので、税額は810万5千円となります。
それでもそんなにするんですね。
そうですね。ですから、整理してみますと、300万円ぐらいの相続税を節税しようとして、今回のように生前にまとめて贈与した場合、900万円ぐらいの贈与税を払うようになるので、損得だけでみると、あまりお勧めはできません。
もちろん、贈与税がかからないように、毎年110万円ずつ贈与して、相続税の課税価格を少なくしていくということはお勧めできますし、実際にやっておられる方もたくさんいらっしゃいます。
それもよく聞きますね。
ですけど、確か、亡くなる前3年間の贈与は相続財産に加算するんですよね。
はい、そのとおりです。そして、贈与のもう一つの課税方式である相続時精算課税についてですが、制度の詳細な説明は省略しますが、2,500万円まで贈与税がかかりませんので、今回の場合の贈与税は0円です。
ですが、この贈与財産についてはお父さんが亡くなった時に相続財産に加算して相続税の計算をしますので、相続税対策にはなりません。この点を踏まえて、生前に渡すメリットももちろんありますので、相続時精算課税をご利用して贈与される方もいらっしゃいます。
生前に渡すメリットとしては、どんなものが考えられますか。
そうですね、まず、贈与財産がお金だとすると、資金的余裕ができるので、高額な買い物ができるようになります。また、賃貸物件などの贈与をした場合は、賃料収入を受けることができるようになったりだとか、お父さんが認知症になってしまって、物件の管理などが難しくなるといったことにも対応できます。
なるほど、税金だけでなくて、そういう事情も踏まえて贈与した方がいいかどうか考えるということですね。
そのとおりですね。財産には現金や預金だけではなくて、不動産も有価証券もありますし、ご家庭の状況や事情なども様々です。また、人によって考え方や、ポイントを置いていることも違いますので、これが正解というのはなかなか言えないんです。
確かにそうですね。
ですが、何かのヒントだったり、疑問解消のお役に立てると思いますので、相続対策や生前贈与についてどうしようかとお悩みの方は、ぜひ当事務所の無料相談にお越しになってご相談ください。
そうですね。やはり専門家の意見を聞くのは大事ですよね。
それと、余談なんですが、今後贈与の仕組みや相続との関係性が見直される可能性があるようなんです。まだ具体的にどうなるというのはないのですが、死亡前3年内の贈与加算という枠がなくなって、相続時精算課税のように、贈与財産は全て相続の時に加算するという諸外国と同様の税制になるのではないかと言われています。
これはまだまだ予想の話なので、今後税制改正されましたら、またご案内したいと思います。
寺尾さん、本日もありがとうございました。