ラジオ出演

相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きについて

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年5月21日)」に出演しました。

ラジオ出演内容

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日は、相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きについてご案内したいと思います。

FM ちゅーピー

最近は高齢化社会で認知症になる方も増えている、とよく聞きますし、割と身近な問題のように思いますね。

寺尾大介

そうですね。高齢化が進むということは、亡くなる方の年齢が上がり、必然的に相続する人の年齢も上がるわけですから、認知症になるケースも増える、ということですね。

FM ちゅーピー

なるほど。

寺尾大介

当所へのご相談でも、すでに認知症になっているご家族がいたり、認知症の兆候が出始めていたり、今後認知症になった時のために、と様々な方からのお悩みをお聞きします。

寺尾大介

認知症の程度によって対応は異なりますが、認知症と診断されてしまうと、法律行為はできませんので、まず遺産分割協議、つまり財産をどう分けるかという話し合いができません。この時、認知症の人を除いて分割協議をしても、それは無効となります。

FM ちゅーピー

ということは、認知症の方がいる場合は、いつまでも財産の分割ができないことになるんですか。

寺尾大介

それでは皆さん困ってしまいますので、認知症などで判断能力が不十分な相続人には、成年後見人という代理人を立てることが一般的です。

FM ちゅーピー

成年後見人という言葉は聞いたことがありますが、具体的にどんな立場の人になるんですか。

寺尾大介

はい、成年後見人は、成人、つまり20歳以上で認知症や精神障害で判断能力が不十分な人に代わって財産を管理したり、契約や相続などの法律行為を行うことができる人です。また、この判断能力が不十分な人を保護し支援する制度のことを「成年後見制度」といい、すでに判断能力が不十分な人のための「法定後見制度」と将来判断能力が不十分になった場合のための「任意後見制度」に分けられます。

FM ちゅーピー

なるほど、判断能力が不十分な人を守る制度なんですね。

寺尾大介

はい、そして、この成年後見人を立てる手続きとしては、判断能力が不十分な人の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見人の選任の申し立てを行います。申し立てができる人は、本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市町村長などとなっています。

FM ちゅーピー

成年後見人にはどんな人がなれるんですか。

寺尾大介

はい、その方の親族や友人などで成人であれば原則として誰でもなることができますが、相続に関して言えば、同じく相続人となる親族などは利害関係が生まれるので、裁判所が認めないことから、司法書士や弁護士などの専門家がなることが多いようです。

FM ちゅーピー

じゃあ、私でもなれるということですね。

寺尾大介

はい、裁判所が認めれば、ですけど・・・。

寺尾大介

余談ですが、成人であれば、ということで、皆さんご存じのとおり、来年4月から成人年齢が18才になるので、原則としては来年4月以降からは18才から成年後見人になれるのですが、裁判所が法改正後すぐに認めるかどうか、という問題もあるようです。

FM ちゅーピー

確かに、そんなことも考えられますね。

寺尾大介

また、手続き的には成年後見人を立てて、遺産分割を決めてという流れなんですが、成年後見人の選任には数か月の期間がかかりますので、相続税の申告期限に間に合わない場合もあったり、親族以外の人が成年後見人になったら、報酬を支払う必要もでてきたりと、成年後見人を立てないで相続する方法はないですか、という質問もよくあります。

FM ちゅーピー

なるほど、どうすればいいですか。

寺尾大介

はい、亡くなった方に遺言書がある場合などはそのままスムーズに相続手続きを進めることができますので、ご相談の時点がまだお亡くなりの前であれば、遺言書を作ることをお勧めしたり、家族信託をお勧めしたりしていますが、亡くなった後だと間に合いません。

寺尾大介

相続税の申告に限って言えば、法定相続分で期限内に申告すれば、成年後見人も必要ありませんし、問題ありませんが、預金などの解約手続きには戸籍謄本や印鑑証明が必要で、代理人が必要になります。
また、不動産を共有にするということもあまりお勧めはできない分割方法です。

FM ちゅーピー

ほかに何か方法はありますか。

寺尾大介

はい、このような場合には、特別代理人という制度があります。

FM ちゅーピー

特別代理人、ですか。どんなことができる人なんですか。

寺尾大介

はい、特別代理人とは、相続の手続きだけとか、決められた手続きのためだけに特別に家庭裁判所から選任される代理人のことで、その手続き以外のことはできませんし、手続きが完了すれば任務も終了となります。また、一般的に、成年後見人よりも速やかに選任手続きがされます。

FM ちゅーピー

この特別代理人になれる人はどんな人ですか。

寺尾大介

はい、これも成人であれば、ということに加え、相続手続きであれば、相続人ではない利害関係がない人ぐらいですが、適任者がいない場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼されることが考えられます。

寺尾大介

また、相続の手続きの場合、遺産分割協議書の案も作成して、選任の申し立てとともに、家庭裁判所に提出する必要があります。これは裁判所が、被後見人に不利な分割になっていないか判定するためです。

FM ちゅーピー

なるほどですね。

寺尾大介

今回は、認知症という前提でお話ししましたが、未成年者も法律行為には制限がありますので、同様な手続きが用意されています。詳しくは、後見人制度の専門家にご相談してみてください。

FM ちゅーピー

そうですね。寺尾さん、本日もありがとうございました。

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