FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年12月17日)」に出演しました。
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。
本日は、最近特にお客様からの問い合わせが多い、贈与税の税制改正について、現在検討されていることやその方向性などをお話ししたいと思います。
贈与税の改正については、私もとても興味がありますので、しっかり聞いておきたいと思います。
はい、まずはなぜこんなにも贈与税についてのお問い合わせが増えたかというと、昨年末に発表された令和3年度の税制改正大綱において「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」という項目が掲げられ、現在の贈与税の在り方について「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する」という観点から本格的な検討を進めることとなりました。
具体的にどうする、どうなるというのはまだ分かっていないのですが贈与税が大幅に改正されるのでは?ということで多くの皆さんの関心事になっているようです。
はい、私もその一人で気になります。
まず、現在の贈与税の課税方式は毎年110万円の基礎控除がある暦年課税方式と相続の時まで課税を繰り延べる相続時精算課税方式のふたつがありますが、考えられる改正の方向性として、
①暦年課税は廃止し、贈与はすべて相続時精算課税とする案と、
②相続時の贈与加算の期間を3年から5年や10年と拡大する案の二通りが想定されています。
この改正をすることによってどんな効果というか狙いがあるんでしょうか。
政府の税制調査会の資料を見ると、個人金融資産つまり貯金額は約1,700兆円あって、このうち約6割の1,000兆円は60歳以上の人が所有しているそうです。
そんなにですか。あるところにはあるんですねぇ。
そして、高齢者の方はあまり経済活動が活発ではないので高齢者が持っている貯金を消費が活発な子供や孫の世代に移転させて経済を活性化させようという狙いがありますので、移転する時にネックになる贈与税を軽減したうえで富裕層に有利にならないよう相続時での課税は強化する、という方向性で検討がされているようです。
なるほど、経済の発展が目的にあるんですね。
また、現在高齢化社会で80歳以上の方の割合が増えて子供世代も高齢化して50代60代となっていますので、孫世代への贈与による資産移転を手厚くするのではないかと個人的には考えています。
確かに若い世代の方がいろんなことにお金が必要なイメージはありますね。
あれこれ想定の話をするのもなんですが、もうひとつお客様からよく聞かれるお問い合わせで「改正はいつから適用されるんですか。」というものがあります。
この点については、これまでの税制改正から考えてすぐに適用するということはないと思いますし、さかのぼっての適用も考えられません。
そうなんですね。
ですから今考えている贈与について躊躇する必要はないと思いますし、改正があったとしても数年後から適用、ということであればそれまでにも贈与は可能だと思いますので、改正内容が発表された後でも最適な贈与を検討して対策するということも可能だと思います。
すぐには変わらないし、さかのぼりもないということですね。
そうですね。
また、今後の相続対策、贈与対策として有効だと考えられるのはまずはご自分の必要なことにしっかり使って、預金を減らしておくことですがお客様からはコロナで旅行にも行けないし外出もまだまだ気が引けるしなかなかお金を使う機会がないというお声もよく聞きます。
確かにコロナでお金を使う機会って減ってますよね。
ここで考えられるのは、子供さんやお孫さんが家や車などちょっと値が張る買い物をする予定があるときに親の名義で購入するというのも対策になります。
現金で1,000万円持っている場合と1,000万円で不動産や車を購入した時に相続税の課税対象となる金額は現金預金だとそのまま1,000万円に課税されますが、不動産や車だと評価額が課税対象になりますし特に建物や車は評価額にするとかなり金額が下がりますので有効な対策です。
もちろん家族でしっかり話をしておいて兄弟間などで不公平なことになって相続争いにということがないようにしておく必要はあると思います。
なるほど、でもその場合に贈与税の心配はないんですか。
はい、使用者は子供さんやお孫さんだとしても所有者は親のままで所有権が移転しているわけではないので贈与税の心配はありません。
そうなんですね。
また住宅取得資金贈与の特例も引き続き使えるようですので、これも使える方は検討してみてぜひ利用されたらいいと思う制度ですし、相続時の生命保険金の非課税枠を最大限利用するということもご検討いただきたい対策です。
可能な方であれば養子縁組をして法定相続人数を増やしたり法人を利用した節税に取り組むこともできます。詳細については当所の無料相談会にお越しくださればご説明しますのでぜひご利用ください。
なるほど、いろいろと対策は可能、ということですね。
はい、そして贈与税の税制改正については先日発表された令和4年度の税制改正大綱では盛り込まれませんでしたので、検討が持ち越され来年度以降の改正になると思いますのでまた改めてその概要を整理してお伝えできたらと思います。
はい、またよろしくお願いします。
寺尾さん、本日もありがとうございました。