Q.義父を長く介護してきました。遺産もらえますか?
1年前に夫が亡くなり、その後も同居する寝たきりの義父の介護を続けてきました。先日、義父が他界しました。長く介護してきたのに義父の遺産をもらうことはできないのでしょうか。
A.
2年前に約40年ぶりに民法が改正されて、相続の制度が順次変わっています。相談のように、夫を亡くした妻が義父(被相続人)の介護や看病に無償で貢献した場合、義母や夫のきょうだい(相続人)金銭を請求できるようになりました。
以前は義理の両親の介護や看護にいくら尽くしても、遺産分割の協議で財産を得られませんでした。これに対して「不公平」との意見もありました。相続人であれば、まったく介護などをしていなくても遺産を受取ることができるのですから。
不公平をなくすため、創設されたのが「特別寄与料の制度」です。どんな制度なのでしょうか。
特別寄与とは、無償で被相続人の介護や看護に尽力し、財産の維持、増加に貢献することです。そうした親族を「特別寄与者」といいます。特別寄与者は、相続の開始後、相続人に応分の寄与料を請求できます。支払いについて当事者間の協議がまとまらないときは、家庭裁判所に対して処分を請求できます。
相続人から寄与料を受け取ると、相続税が課税されます。その計算は相続人とは異なる点があるので注意してください。基礎控除が適用されないほか、原則として相続税額の2割が加算されます。
実際、どのくらいの相続税になるのか。詳しい計算方法は泉温化への相談をお勧めします。
<2020年3月9日 中国新聞掲載>