無申告
相続税の申告が必要な人は、相続開始日(死亡日)から10カ月以内に申告書を提出することとされていますが、この申告が行われていないことを「無申告」といいます。
平成27年1月に相続税の基礎控除が引き下げられ、相続税がかかってしまう方が以前よりも大幅に増加している中、当然に比例して無申告案件が増加しています。
なかには税務署から申告案内が届かなかったから申告はいらないんだろうと判断されて申告しないままにしている方も多くいらっしゃるようです。
「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。」ことを使命として掲げる国税庁・税務署の立場としては、この無申告は最も悪質な脱税行為であるとして厳格に対処するべき案件と位置づけて、積極的かつ重点的に取り組んでいます。
でも、申告をしていないのに、税務署はどうやって死んだことや相続税がかかるほどの財産を持っていることが分かるんだろう?
そう思われた方もいらっしゃると思います。
まず、人が亡くなると、ご家族の方が市役所などに死亡届を提出しますが、市役所ではこの死亡届が提出されたことを税務署に通知することが法律で決められています。
さらにその時に市役所で把握している固定資産の情報や所得状況なども併せて通知することとなっていますので、ここである程度の不動産をお持ちの方は相続税がかかる可能性が高いと判定されます。
その死亡通知を基に、税務署内で保有している亡くなられた方の過去の所得情報や金融資産の情報、保険金などの法定資料などを総合して、相続税がかかりそうな方を抽出しているのです。
つまり、税務署では誰がいつ亡くなり、その人に相続税がかかるのかどうかを判断するシステムを構築しているということです。
また、無申告案件は税理士が関与していませんので、税務署としても調査がやりやすいということもあり、優先的に取り組まれ、さらに無予告でいきなり調査官が自宅に来る、という調査の仕方も多いようです。
ですから、少しでも相続税がかかるかもと思われている方は一度税理士に、それも相続税専門の税理士に相談されることをお勧めします。
また、今後、マイナンバー制度が充実していくと、さらに個人の保有資産の税務署での管理が進んでいくのは間違いありません。
意図的に申告をしない方はもちろんですが、相続税はかからないだろうと勝手な思い込みで申告をしなかった場合でも同様に税務調査は厳しく行われますので、十分注意してください。