レディオモモ「まかせて相続」(令和2年8月20日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
相続税がかかる財産には、「本来の相続財産」と呼ばれているものと、「みなし相続財産」と呼ばれているものがあります。皆さんが分かりやすい財産と分かりにくい財産があります。今日は、この「相続税がかかる財産」についてお話ししたいと思います。
相続税がかかる財産には「本来の相続財産」と「みなし相続財産」と呼ばれる財産があるんですね。先ずは「本来の相続財産」とは、どのような財産を言うのでしょうか。
本来の相続財産とは、被相続人に帰属していた財産上の権利義務のうち、相続又は遺贈により、相続人や受遺者(じゅいしゃ)が取得する財産を言います。相続税法では、被相続人に帰属していた財産のうち、金銭に見積ることができる経済価値があるもの全てが本来の相続財産となります。
具体的には、どのようなものが「本来の相続財産」となるのでしょうか。
本来の相続財産で代表的なものは、土地、家屋、現金、預貯金、有価証券などがあります。これらは財産を見て確認しやすいですし、なんらか価格がついているので、皆さんも分かりやすいと思います。
しかし、本来の相続財産には、形がないものや価格が分かりにくいものもあります。例えば、借地権、構築物、貴金属宝石、書画骨董、自動車、電話加入権、立木(りゅうぼく)、貸付金などの金銭債権です。それから、未登記の土地建物、被相続人以外の家族名義・他人名義の預貯金であっても、実質的に被相続人に帰属する財産は本来の相続財産に含まれます。
次は「みなし相続財産」とは、どんな財産を言うのでしょうか。
みなし相続財産とは、法律的には、被相続人から相続又は遺贈により取得したものではないんですが、実質的には相続又は遺贈により取得した財産と同様の経済的効果を持つものがあります。相続税法では、課税の公平を図る見地から、このような財産を相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象としています。このような財産を「みなし相続財産」と呼んでいます。
具体的には、どのようなものが「みなし相続財産」となるのでしょうか。
みなし相続財産で体表的なものは、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金です。死亡保険金は被相続人に帰属した後に相続人等が取得するものではありません。保険契約に基づき被相続人の死亡という事実の発生によって相続人等が受け取るものです。被相続人に帰属していた財産ではないので本来の相続財産ではありません。
しかし、本来の相続財産と経済的実質は変わらないので、相続税法は死亡保険金を相続財産とみなして相続税を課税することにしています。それから、よく同様に説明される、死亡退職金もみなし相続財産です。
生命保険と言えば、2月にお話しがあった生命保険契約の権利もみなし相続財産となるのでしょうか。
税務では、生命保険契約の権利は、契約者ではなく、保険料負担者の財産と取り扱われる、とお話ししたと思います。生命保険契約の権利は、相続財産になることに変わりはないんですが、契約者が誰かによって、本来の相続財産となったりみなし相続財産となったりします。
先ず、被相続人が、契約者であり保険料負担者である場合です。この場合、生命保険契約の権利は、本来の相続財産となります。財産を取得した方は、契約者変更の手続きをして自分が契約者になります。
次に、保険料負担者は被相続人ですが、契約者が被相続人以外の方の場合です。相続税法は、被相続人の死亡により、契約者は、被相続人が負担した保険料を相続又は遺贈により取得したとみなします。なので、この場合はみなし相続財産となります。保険契約上の契約者は変わりませんから、契約者変更などの手続きはいりません。言い方を変えると、被相続人に帰属していた財産ではないので、遺産分割の対象外です。
相続税法で「相続又は遺贈により取得したとみなす」というところがポイントですね。他にはどのようなものがあるのでしょうか。みなし相続財産以外でも注意しないといけない財産があれば教えてください。
みなし相続財産のほか、相続税の計算上、相続税の課税価格に加算される財産も重要です。併せて紹介しますと、
- 相続時精算課税適用者の受贈財産
- 相続開始前3年以内の贈与財産
- 被相続人から生前に贈与を受けて贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用財産
- 教育資金や結婚子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けていた場合の管理残額
- 定期金などに関する権利
- 特別縁故者に対する相続財産の分与
- 遺言により取得したとみなされる、低額譲受、債務免除、その他利益の享受、信託に関する権利
- 持分の定めのない法人から受ける利益
などがあります。
あまり聞きなれないものもあると思います。それから判定などの検討が必要なものもあります。悩まれたら、早めに専門家に相談されることをお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんにお越しいただきました。ありがとうございました。