レディオモモ「まかせて相続」(令和3年9月16日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんです。
宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
相続により不動産を取得したのち、相続税の支払い、維持管理が大変などの理由でその不動産を売却しようとされる方がいます。
その際、税金関係で何かメリットがありますか? と質問を受けることがあります。
今日は、相続後の不動産売却で適用できる特例についてお話ししたいと思います。
特例のお話しの前に、先ずは、不動産を売却した場合の、所得の計算方法について教えてください。
不動産の売却は、分離課税の譲渡所得に区分され、所得が生ずれば所得税が課されます。
所得の計算はいたってシンプルで、譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除 で計算します。
譲渡価額は、売却した金額のことです。
取得費は、売却した不動産を買った時の購入代金や購入時の費用です。
譲渡費用は、売却に時に支払う費用で、仲介手数料などがあります。
特別控除は、文字通り特別な控除のことで通常の計算では認められません。
要件を満たせば特例により控除できる場合があります。
よくあるケースは、用地買収やマイホームを売却した時です。
それでは、「相続後の不動産売却で適用できる特例」についてお願いします。
今日お話しする特例は2つあります。
1つめは、被相続人の居住用財産を売却した時の3000万円の特別控除です。
「空き家譲渡特例」と呼ばれています。
「空き家譲渡特例」を適用するための要件は何があるのでしょうか。
全て要件をお話しすると時間がないので代表的なものを紹介します。
被相続人の居住用、空き家譲渡、というワードがあることから、
・被相続人が住んでいた居住用不動産を被相続人から相続により取得して、取得した相続人が売却していること
・被相続人は1人で居住していたため、相続後、空き家となっていることが要件となります。
それから、もう1つ大きな要件があります。
相続した居住用不動産を “そのままの状態” で売却してもダメなんです。
建物を取り壊して更地で売却するか、建物に耐震リフォーム工事を行って売却するかしないと、要件を満たさないことになります。
相続で取得したあと、売却する時期はいつでも良いのでしょうか?
売却する時期にも定めがあります。
相続開始後、3年目の年末12月31日までに売却しないといけません。
それから、この空き家譲渡特例は、平成28年度の税制改正で創設されましたが、適用は、平成28年4月1日から令和5年12月31日までに行った譲渡が対象です。
令和6年以降については、延長されるかもしれないので、今後売却を検討されている方は、改正の有無を確認してください。
2つめも特別控除の特例でしょうか。
2つめは、特別控除ではなく、必要経費の1つである取得費の特例です。
相続財産を売却した場合、相続で支払った相続税が取得費に加算できます。
「取得費加算特例」と呼ばれています。
要件は、相続や遺贈により土地、建物、株式などの財産を取得した方が、その財産を、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限から3年目の日までに売却していることです。
つまり、相続開始日から3年10ヵ月後までに売却、ということです。
それから、支払った相続税が経費になるので、当然、相続税の支払いがないとダメです。
相続税の支払いがあっても、売却する財産のほか、預金や死亡保険金も取得していれば、売却した財産部分の相続税しか経費に加算できません。
紹介していただいた2つの特例で注意するところはありますか。
空き家譲渡特例は、被相続人の居住用財産が対象ですが、取得費加算特例、は土地、建物、株式などの財産が対象となるため、適用できる財産の範囲が広いです。
仮に、空き家譲渡特例と取得費加算特例のどちらも適用できる場合、重複適用はできません。どちらが有利か選択して、有利な方1つだけ適用することになります。
取得費加算特例は、適用できるかどうかの判断・加算額の計算は分かりやすいと思います。
しかし、空き家譲渡特例は、いろんなケースがあるので、適用できるかどうかはよく検討する必要があります。
特例が適用できるかどうかお悩みの方は、適用期限が決まっているので、早めに専門家へ相談されることをお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。