特例の適用を受けるための要件
この特例の適用を受けるためには、次の要件のいずれにも該当する必要があります。
- 贈与者の要件
認定医療法人(贈与者による持分の放棄があった日において、認定医療法人である医療法人に限ります。以下同じです。)の持分を有していた人であること。 - 受贈者の要件
認定医療法人の持分を有していた人(贈与者による認定医療法人の持分の放棄により受けた経済的利益について贈与税が課される人に限ります。)であること。 - 特例の対象となる経済的利益の要件
贈与者による認定医療法人の持分の放棄により受けた経済的利益で、贈与税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載したものであること。 - 申告の手続
この特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書に、次に掲げる書類を添付して、その申告書を贈与税の申告書の提出期限内に提出するとともに、医療法人持分納税猶予税額および利子税の額に見合う担保(この特例の適用に係る認定医療法人の持分でなくても差し支えありません。)を提供する必要があります。
- 認定医療法人の持分の放棄の時において厚生労働大臣の認定を受けていることを証する書類
- 認定医療法人の認定移行計画の写し
- 贈与者による認定医療法人の持分の放棄の直前及びその放棄の時における認定医療法人の出資者名簿の写し
• 印鑑証明書(質権設定の承諾書に押印したもの)
• 特例の適用に係る認定医療法人が、受贈者が有する持分に質権を設定されることについて承諾した旨が記載された公正証書など、租税特別措置法施行規則第23条の12の6第1項第3号に規定する書類
医療法人持分納税猶予税額の納付
(1)医療法人持分納税猶予税額を納付しなければならない場合
納税猶予を受けている贈与税額は、次に掲げる場合に該当することとなったときは、その贈与税額の全部または一部を納付しなければなりません。
<医療法人持分納税猶予税額の全部確定>
- 贈与税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合
- 贈与税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分の譲渡をした場合
- 認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、新医療法人への移行をしなかった場合
- 認定医療法人の認定移行計画について、厚生労働大臣の認定が取り消された場合
- 認定医療法人が解散をした場合(合併により消滅をする場合を除きます。)
- 認定医療法人が合併により消滅をした場合(合併により医療法人を設立する場合において受贈者が持分に代わる金銭その他の財産の交付を受けないときなど一定の場合を除きます。)
<医療法人持分納税猶予税額の一部確定>
認定医療法人が認定移行計画に記載された移行期限までに、基金拠出型医療法人への移行をする場合において、受贈者が認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分を基金拠出型医療法人の基金として拠出したとき
(2)利子税
上記(1)により納付する贈与税額については、申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、年6.6パーセントの割合で利子税がかかります。
ただし、各年の利子税特例基準割合が7.3パーセントに満たない場合には、その年中においては次の算式により計算した割合(0.1パーセント未満の端数は切り捨て、その割合が0.1パーセント未満の割合である場合は年0.1パーセント)が適用されます。
利子税特例基準割合
平均貸付割合(各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合をいいます。)に、年0.5パーセントの割合を加算した割合
納付義務の承継
認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、この特例の適用を受ける受贈者が死亡した場合には、その受贈者に係る医療法人持分納税猶予税額の納付義務は、その受贈者の相続人が承継することになります(死亡した受贈者に係る医療法人持分納税猶予税額は、免除されません。)。
対象者または対象物
認定医療法人の持分を有する人(贈与者)がその持分の全部または一部を放棄したことにより贈与税が課される、その認定医療法人の持分を有する他の方(受贈者)