ここでは遺言書の必要性から遺言書の種類、どのような場合書くべきか!?など遺言の基本的事項を説明します。遺言書をまだ書いてない方は、ぜひ参考にしてください。
遺言とは何?
遺言とは、人の生前における最終的な意思を尊重して、遺言者の死後にその意思を実現させる為の制度です。
つまり、遺言によって死後の財産や権利について継承者を自由に決めることができるという法律行為です。民法では、遺言に厳格な要件を定めているので、それによらない遺言は無効としています。
遺言の必要性
被相続人が財産の分配について何も言わずにお亡くなりになると、残された相続人の話し合いによって分配方法を決めることになります。
これを「遺産分割協議」と言い、この話し合いで財産をを巡っての争いやもめごとを起こして、兄弟の仲が悪くなるというケースも少なくありません。
また財産が金融資産だけであれば財産の分割も簡単ですが、不動産や株といった財産の場合、誰が何を相続するかなど、利害が衝突してうまくまとまらないことがあります。
このように争いを未然に防ぐためにも、遺言書を作成しておく必要があります。
遺言書の種類
【自筆証書遺言】
- いつでも一人で作成できる
- 家庭裁判所の検認を受ける
- 紛失や隠匿、法的に無効になる恐れがある
- 費用がかからない
【公正証書遺言】
- 公証人に作成してもらい公正証書にする
- 紛失・偽造変造の危険がない
- 家庭裁判所の検認は不要
- 証人が2人必要
- 手数料が必要
【秘密証書遺言】
- 内容を秘密にすることが可能
- 代筆・ワープロ打ち・点字打ちも可能
- 封印して公証人と遺言者が封紙に署名押印
- 家庭裁判所の検認が必要
こんな場合は遺言書を作るべきです!
子供がいないので妻に全部相続させたい
夫婦間に子供がいない場合、相続人は妻と両親か妻と兄弟姉妹になります。遺産の全部を妻に相続させるには、遺産を全部妻に与えるという趣旨の遺言が必要です。
相続人がいない
相続人がいない場合、特別な事由が無ければ、遺産は国庫に帰属してしまいます。それを望まない場合は、お世話になった人などに譲る旨の遺言書を作成する必要です。
事業を維持するため財産を細分化させたくない
個人で事業を行っている場合、その経営権も個人の財産ということになります。つまり相続の対象になりますのでそれらが法定相続分により細分化されてしまうと、事業継続が難しくなります。
そのような事態を避けるには、後継者に事業上の財産を相続させる旨の遺言書が必要です。
先妻の子供と後妻の子供がいる
先妻と後妻の両方に子供がいる場合、先妻の子供と後妻の子供が遺産の取り分を主張するという紛争がよく起こります。
このような争いを防ぐには、遺産の配分を記した遺言書を残しておくことである程度防ぐことができます。