レディオモモ「まかせて相続」(令和3年2月18日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
今日は相続税を計算する時に注意しないといけない債務控除について、お話ししたいと思います。
そもそも「債務控除(さいむこうじょ)」とは何でしょうか。
相続税を計算するときは、亡くなった方が残した、土地、建物、預金などのプラスの財産から、借入金、未払金などのマイナスの財産である債務を差し引くことができます。この差し引く計算を債務控除と言います。
それでは、この債務控除の計算で何に注意する必要があるのでしょうか。
例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円です。亡くなった方のプラスの財産が1億円、債務が6000万円だった場合、差し引きすると4000万円になります。
課税価格4000万円は、基礎控除額4200万円以下ですから、相続税はかからない。と思いがちです。
基礎控除以下ですから、相続税はかからないのではないですか。
相続税の計算は、財産を取得した方の課税価格を合計して、被相続人の課税価格を算出します。
先ほどの例の財産構成が、預金7000万円、貸しアパート3000万円、貸しアパートを取得した時の銀行借入が6000万円とします。
それから、遺産分割で、相続人Aは、預金7000万円を相続して課税価格は7000万円。相続人Bは、貸しアパート3000万円とその銀行借入6000万円を相続して、課税価格が▲(マイナス)3000万円となったとします。
しかし、相続税の計算では、この▲(マイナス)3000万円は0円と扱われます。なので、被相続人の課税価格は相続人Aが取得した預金7000万円だけとなり、基礎控除額4200万円を超えますから、相続税がかかる結果となります。
要は、取得する財産構成・金額によって、相続税がかかるかどうか変わるんです。
なるほど、相続税の計算は亡くなった方の財産をベースに計算してしまいがちですが、実際の相続税の計算は、財産を取得した方の金額を合計して計算するんですね。
はい、そうなんです。
他には注意する点はありますか。
次は、相続人以外の方が、特定遺贈により財産を取得する場合です。
遺贈の種類は、特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。遺贈の場合、相続税法では、包括遺贈で財産を取得した方と、相続人が特定遺贈により財産を取得した場合は債務控除ができますが、相続人以外の方が、特定遺贈により財産を取得した場合は、債務控除ができません。
先ほどの例で、貸しアパート3000万円とその銀行借入6000万円を、相続人以外の方に、遺贈(いぞう)した場合も債務控除できないのでしようか。
債務控除はできないのですが、負担付特定遺贈の場合は救済措置があります。
その前に、そもそもの相続税の計算ですが、課税財産を計上し、別で債務を計上し、各財産取得者の課税財産から債務を差し引くことで、各人の課税価格が計算されます。
負担付特定遺贈の場合、負担がないものとした財産の価額から、負担する金額を控除した価額が、課税財産となります。課税財産で控除するか、債務で控除するかの違いで、結果、課税価格は同じ金額になります。当然、マイナスとなったら0円です。
なので、先ほどの例で、貸しアパート3000万円とその銀行借入6000万円を、相続人以外の方に、遺贈(いぞう)した場合も、相続人Aが取得した預金7000万円が課税価格となりますから、相続税がかかることとなります。
救済措置があって良かったです。ただ、遺贈する場合も、よく検討してしないと相続税がかかってしまうんですね。
はい。それから、相続を放棄した方や、日本国内に住所を有していない方も、債務控除は注意が必要です。ご自身で判断に迷う際は、早めに、税理士などの専門家にご相談されることを
お勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。