ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
弊社の無料相談で、よく、相続税がかかるのでしょうか?と、相談に来られるお客様がいらっしゃいます。
財産構成は、土地建物、現金預金、生命保険金などの場合が多いです。預金や保険金は通帳や保険証券などを見れば金額が分かりますが、土地建物は、今まで考えもしなかったことなので、ほとんどの方が、いくらの金額になるのか分からないようです。
もちろん、税理士でも簡単に計算できない土地建物もありますが、今日は、一般的な土地建物の、ザックリとした相続税評価額の計算方法をお話ししたいと思います。
まず用意するものは何でしょうか。
用意するものは、毎年春に市役所から送られてくる固定資産税納税通知書です。紛失されていたら、市役所で土地家屋の「名寄帳」をとってください。
土地と建物は計算方法が違うので、建物からお話しします。建物の相続税評価額は、ズバリ固定資産税評価額で評価します。
固定資産税納税通知書には物件ごとの課税明細書があります。その課税明細書に「評価額」の欄があります。この評価額が固定資産税評価額です。市区町村によっては、若干、表記方法が違うかもしれません。
それから、固定資産税納税通知書にはそのほか色々な金額が記載されています。固定資産税・都市計画税課税標準額や固定資産税の額は、相続税評価では使用しませんので注意してください。
それでは土地の相続税評価額はどのように計算するのでしょうか。
土地といっても色々な種類があります。相続税法上、土地は相続が発生した時の現況で評価します。その現況の区分は、宅地、田、畑、山林、原野、雑種地などがあります。
先ずは、宅地の相続税評価額の計算方法をお話しします。宅地も建物と同じで、固定資産税評価額を見ます。
建物は固定資産税評価額で評価しますが、宅地は固定資産税評価額を1.1倍した価額が、ザックリとした宅地の相続税評価額です。
厳密に評価しようとすると、路線価格を調べたり、測量など行う必要があり、倍率をかける場合も、1.2倍や1.3倍の地域もあるので、冒頭に言いましたように、ザックリと計算する場合は、1.1倍してみると、おおよその相続税評価額が計算できます。
田(た)や畑(はたけ)などの農地(のうち)はどのように計算するのでしょうか。
宅地の次に多く所有されているのが、田や畑などの農地だと思います。農地の場合は、宅地のように単純には計算できません。農地の評価方法は、おおきく分けて2種類あります。
1つ目は先ほどお話ししたように、固定資産税評価額に倍数をかける方法です。ただ、この倍数は地域によってさまざまです。2倍、3倍する地域から、30倍、40倍する地域もあるので、固定資産税評価額くらいと考えていると大きな勘違いとなってしまいます。
しかし、国税庁ホームページから財産評価基準書にある評価倍率表を見れば、倍数を確認できますから、かなり正確な相続税評価額が計算できると思います。
それでは、農地(のうち)の評価方法で、もう1種類はどのような計算をすれば良いのでしょうか。
2つ目の評価方法はちょっと厄介です。先にお話しした農地との区別は、評価倍率表を見れば分かります。評価倍率表に倍数が書いていません。倍数のかわりに、「市比準(しひじゅん)」「周比準(しゅうひじゅん)」という文字が書かれています。
この「市比準(しひじゅん)」「周比準(しゅうひじゅん)」の説明は割愛しますが、基本的な考え方は、その農地を宅地として評価して、そこから現況に応じて、かかるであろう造成費の金額を控除する計算となります。造成費の単価は財産評価基準書に載っていますから、その農地の測量ができれば計算は可能ですが、はじめての方には計算が分かりにくいかと思います。
何かザックリと計算する方法はありませんか。
精度は落ちますが、その農地が、県や市などの道路の高さとほぼ同じであれば、宅地の単価で評価します。
ご自身で近くに宅地を持っていればその宅地の単価で、宅地を持っていなければ市区町村の固定資産税の路線価を確認して計算します。
道路と比べて高低差や傾斜があれば、固定資産税評価額に1.3倍かけて評価します。この1.3倍は私の経験値なので何の拘束力もありません。1.1倍する方もいれば、1.5倍くらいする方もいると思います。
なるほど倍数をかけるだけなら誰でも計算できますね。
はい。土地の現地確認をしないで計算しようとすると、このような方法になります。所有する不動産によっては、このようなザックリとした計算でほぼ正確な相続税評価額を計算することができますが、申告書に載せる金額となると単純ではありません。
形状が不整形な土地、道路に接していない土地、面積が広い土地などは評価減できますし、貸アパート、貸テナント、土地を貸して借主が建物を建てている場合は、土地と建物ともに権利関係で評価減できます。
農地の場合は、法規制上宅地転用できる農地でも、現実的に宅地転用が難しい農地は評価方法も変わってきます。今回はお話しできませんでしたが、雑種地の評価も厄介です。
相続税がかかるかどうかで悩まれたら、早めに専門家への相談をお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。