FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年6月18日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。
本日は、ちょっと気になる記事を見つけたので、ご紹介したいと思います。記事の題名は、「税務調査で狙い撃ちにされる海外資産」というものです。
「海外資産」に関する記事ですね。どんな内容なんですか?
富裕層と呼ばれるお金持ちの方が持っている海外資産について、国税当局が以前から「情報収集」を強化していたんですが、その情報の「分析」の目途がついて、いよいよ「調査」へと本格的に移行しつつある、というもので、コロナ禍で調査がなかなか思うように行えない当局が、海外資産の調査に今後さらに力を入れていくのではないかということです。
「海外資産」というと、数年前に話題になった「パナマ文書」を思い出しますね。
そうですね。5年くらい前だったと思いますが、当時、タックスヘイブンと呼ばれていたパナマ、バージン諸島、バハマなどの租税回避地、つまり、税金がかからない国へ、世界の著名人や政界関係者が金融資産を預けて利益を得ていた、ということで、かなりのインパクトがありましたね。
そうでしたねぇ。
当時、私は広島国税局の資産課税課で海外事案の担当をしていたので、パナマ文書に載っていた日本人の確認調査をする、という特命なんかもあったりしました。
やっぱり、そういう方の調査もやるんですね。
そうなんです。全国の各国税局には、「富裕層プロジェクトチーム」というものがあって、一定額以上の資産を持つ富裕層に特化して、情報収集や調査を行っているんです。その中でも、海外資産や海外取引は、国内資産のようには簡単に情報収集ができないので、課税漏れや、申告漏れなどが考えられますので、特に力を入れて情報収集しているんです。
そうなんですねぇ。
ちょっとイメージしてみてもらうと、お金持ちの人が、税金がかからないように海外に投資したりしてるのを一般の方が見て、ちゃんと税金納めているのかな?
税務署はちゃんと調査してるの? なんて思っちゃいますよね。
特にパナマ文書が出て以降はその考えが強くなったと思います。そうなると、真面目に税金を払っている方も、税金を払うのが嫌になる、ということにならないように、ちゃんと調査してますよ、適正に納税をしてもらうために対応してますよ、と言えるように、国税当局はしっかり取り組んでいるんです。
分かります。税務署、ちゃんとやってんの? うちばっかりじゃなくて、もっと儲けてるとこに行きなさいよ!って、思ってます。
調査先の人によく言われてました。余談ですが、国税庁が毎年年末頃に申告事績、調査事績の取りまとめを報道発表しているんですが、国民に向けて、これだけ調査しているんですよ、ちゃんと調査してますよ、というアピールとして、5年位前から、海外資産関連事案の調査事績を載せるようになっています。
一般の方はあまり目にすることはないかもしれませんが、国税のホームページに載っていますので、興味のある方はご覧ください。
そうなんですね。
ところで、じゃあ、国税はどんな手続きで海外資産や海外取引の情報を集めているのかというと、まずは、国税庁と海外の税務当局との間で金融口座情報を交換する、CRSという情報交換ネットワークを構築し、多くの国と協定を結んで、日本人の海外口座の情報を取得しています。今年の1月時点で、CRSに参加している国と地域は106か国で、今後もさらに参加する国が増える予定だということです。
へぇー、そういう情報収集をしていたんですね。
CRSの他、国内の金融機関と海外の金融機関で100万円を超えるお金の送金、受金があった場合には、その情報を金融機関から報告させるように法律で定めた、「国外送金等調書」という資料があります。
これは、相続税だけでなく、法人税や所得税の海外取引の調査の上で、国税当局が最も活用している資料情報で、国外送金を一度でもされた方は、「海外にこういう送金をされてますが、どういった内容ですか?」という問い合わせを税務署から受けた経験のある方も結構おられると思います。
なるほど、資料がちゃんと活用されているということですね。
ちなみに、この法律の名称は「内国税の適正な課税の実現を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」といいまして、いかにも頭の固い役人が考えたようなネーミングになっていますが、略して「国送法」と呼ばれています。
確かに、法律名、長いですね。
平成26年1月からは、「国外財産調書」という書類を提出するように、法改正がありました。対象者は、国外に5,000万円を超える財産を持っている方で、その財産の種類や数量などの必要事項を記載した「国外財産調書」を、確定申告の時期に提出することとなっています。
この「国外財産調書」に虚偽の記載をして提出した場合や、正当な理由なく提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されることもありますので、国外に財産をお持ちの方は気を付けてください。
懲役や罰金もついているということは、かなり厳格な制度なんですね。
そうですね。さらに、国外財産を5,000万円以上お持ちなのに国外財産調書を提出していない、あるいは少なく記載して提出していた方に税務調査があり、その国外財産について申告漏れが把握された場合には、通常の加算税に5%の追加税率が加えられます。つまり、国税においての罰金もあるんですね。
えーっ、厳しいんですね。
はい、かなり本気で取り組んでますね。そして、これまでで収集した情報等を基に分析検討を済ませ、いよいよ本格的に国外財産の調査に取り組みつつあるという状況が分かるのが、昨年発表された令和元年度の全国の海外資産関連事案の調査事績ですが、相続税の調査件数が1,008件で77億円の申告漏れ財産が発見され、所得税では調査件数が3,942件で948億円の申告漏れ所得が発見されていて、過去最高の記録となっているんです。
すごい金額ですね。
海外資産なら日本の国税も分からないだろうという時代は終わっていますので、心当たりのある方は正直に申告をするようにしてください。
はい、私も気を付けます。
寺尾さん、本日もありがとうございました。
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