ラジオ出演

相続登記について

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年9月17日)」に出演しました。

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日は、不動産を相続した際に必要になる「相続登記」についてお話させていただきますが、まず、不動産を相続した時には、被相続人から相続人に名義変更をする「相続登記」を申請することができます。

寺尾大介

これは相続税の申告が必要な方、基礎控除以下で相続税の申告が必要でない方を問わず、皆さんに関係します。

FM ちゅーピー

ということは、より多くの方に身近なお話ですね。

寺尾大介

そうなんです。そして、この相続登記は、これまでは任意、つまり、してもしなくても良かったんですが、法改正により、2024年度を目途に義務化されることが決まりました。

FM ちゅーピー

義務化ということは、必ず登記の手続きをしないといけないということですか。

寺尾大介

そういうことです。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられたことに加え、登記をしなかった違反者には10万円以下の罰金も科せられることにもなりました。

寺尾大介

また、一方で、現在の手続きが煩雑すぎるという声もあったので、手続きの簡略化も予定されているようです。

FM ちゅーピー

罰金まで取られるんですね。でも、どうして義務化することになったんですか。

寺尾大介

はい、今回の義務化の背景には、相続登記がされないままの所有者不明土地の増加、が一つの大きな要因としてあります。
平成28年度の地籍調査の結果では、登記簿上の所有者不明土地の筆数の割合は、全体の約20%もあるそうです。

寺尾大介

これを面積で見ると約410万haもあり、九州全体の土地面積が約367万haということと比較しても、かなりの面積であることが分かると思います。

FM ちゅーピー

えーっ、九州よりも広い土地が所有者不明なんですか。

寺尾大介

そうなんです。もう少し細かく原因と問題点を整理してみると、

寺尾大介

・これまでは相続登記は義務ではなかったので、手数料や税金を払ってまで申請しなくても、相続人に不利益があまりなかった

寺尾大介

・都市部への人口集中や高齢化の進行等により、地方を中心に、土地の所有意識が希薄化し、土地を利用したいというニーズも低下していた

寺尾大介

・相続登記をしないままの相続が繰り返されて、土地の共有者がネズミ算式に増加した
といった原因が考えられます。

FM ちゅーピー

分かります。しなくてもいいなら、高いお金を払ってまで急いでしないでも後回しにしとこうかと考えますよね。

寺尾大介

そうですね。そして、これらを原因として所有者不明土地が増えたことによる問題点として、

寺尾大介

・所有者の探索に多大な時間と費用が必要
・所有者が不明な場合には土地が管理されず、放置されていることが多いため、隣接する土地への悪影響が発生

寺尾大介

・共有者が多数いる場合や所在不明の場合、土地の管理、利用のために必要な合意が困難で、公共事業や復旧、復興事業が円滑に進まず、民間取引が阻害されるといったものがありました。

寺尾大介

そして、この問題は、高齢化の進行による死亡者数の増加等により、今後ますます深刻化する恐れがあり、所有者不明土地問題の解決は、喫緊の課題とされていました。

FM ちゅーピー

そんなにもいろんな問題があったんですね。

寺尾大介

はい、これらは社会的な問題ですが、相続人本人にとっても、名義が亡くなった人のままでは売買や賃貸に出すなど、不動産の積極的な活用が難しくなりますし、借入金などの担保にすることもできません。

寺尾大介

また、相続登記を放置すると、代が進むごとに相続人の数が多くなってしまい、いざ登記手続きをしようとしたときに権利関係が複雑になり、話が進まない恐れもあります。

FM ちゅーピー

相続人の数が増えて、話がまとまらないという問題はよく聞きますね。

寺尾大介

そして、これらの問題事項を解決するため、所有者不明土地の「発生予防」と、既に発生している所有者不明土地の「利用の円滑化」の両面から、総合的に法制度の見直しが行われました。

寺尾大介

具体的には、登記がされるようにするための「不動産登記制度の見直し」として、相続登記、住所変更登記の申請義務化とその手続きの簡素化、合理化が検討されています。

寺尾大介

また、土地を手放すための制度として「相続土地国庫帰属制度」を創設し、相続により土地を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国に帰属させることができるように検討されています。

寺尾大介

そして、土地利用に関する「民法の規律の見直し」として、所有者不明土地管理制度の創設や、共有者が不明な場合の共有地の利用の円滑化、長期間経過後の遺産分割の見直し、などが検討されています。

FM ちゅーピー

なるほど、今後の発生予防と、現在の所有者不明土地の解消の両面から検討されているんですね。

寺尾大介

そうですね。また、所有権移転登記をする際には、登録免許税がかかります。
相続の場合は、固定資産税評価額の0.4%の税率です。

寺尾大介

売買や贈与などで登記する場合は2%ですので、相続の場合は今でも優遇されているんですが、この税負担をさらに軽減しようとすることも検討されています。
ちなみに、不動産取得税は相続の場合にはもともと課税されません。

FM ちゅーピー

そうなんですね。

寺尾大介

また、地方公共団体との連携も強化し、死亡情報を取得して、職権で登記に表示したり、地方公共団体の発行する相続発生時の必要手続きチェックリストに「相続登記の申請」を追加するよう要請しているようです。

FM ちゅーピー

いろいろな対策が考えられているんですね。

寺尾大介

そうですね。2024年と言ったらあと3年もある、と思っているうちに、あっという間に期限は来ますので、該当する不動産をお持ちの方は、早めの対処をお勧めします。

FM ちゅーピー

そうですね。寺尾さん、本日もありがとうございました。

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