相続の知識

令和8年税制改正で変わる不動産相続対策③

不動産相続対策

取得後5年以内の貸付用不動産は時価ベースの80%評価へ。
今回は、従来型の「評価引下げを狙う」手法が通用しなくなる改正と実務対応を解説します。

資産入替えによる対策の再設計

今回の改正が示す方向性は明確です。「評価引下げを狙う」ことを目的とした不動産取得の優位性が低下し、「長期保有を前提としたキャッシュフロー重視の運用設計」が合理性を持つようになります。今後は次の5つの要素を一体的に評価するフレームワークが求められます。
すなわち、収益性(保有期間中のキャッシュフローが安定的にプラスか)、流動性(必要時に売却可能か、換金までの時間とコスト)、納税資金(遺産全体で納税資金が確保できるか)、分割可能性(争族の原因にならないか、換価分割の準備)、出口戦略(相続後の売却・保有継続の選択肢、次世代の管理負担)の5軸です。
5年以内に該当する資産は評価額の増加分と税負担の増加分を試算し、許容範囲を超えれば売却や入替を検討します。
新規取得を検討する場合は5年超保有を前提としたキャッシュフロー採算を基本とし、80%評価を「最悪ケース」として織り込んだうえで、それでもなお取得する経済合理性があるかを判断します。小口化商品については評価引下げの機能を期待せず、分割容易性、換価分割の円滑化、管理負担の軽減といった運用面を中心に価値判断します。
「なぜその不動産を取得(保有)しているのか」を税務当局に合理的に説明できるようにしておく必要があります。キャッシュフローが安定し、資産運用として合理的な理由がある不動産であれば、税務調査における説明力は格段に高まるからです。

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