Q.パソコンで遺言書。どこまで作成できる?
元気なうちに遺言書を作っておこうと考えています。これまで全て自筆でなければいけなかったのが、パソコンを使って書いてもよくなったと聞きました。かなり労力が減りそうなので助かりますが、パソコンでどこまで作成していいのでしょうか?
A.
民法改正で、自筆の遺言書(自筆証書遺言)に添付する財産目録については、パソコンでの作成や本人以外の代筆が可能になりました。通帳のコピー添付も認められています。いずれも偽造を防ぐため、署名・押印が必要です。だたし、遺言書の本文は、これまで通り自筆でなければいけないので、気を付けてください。
財産が多い場合、目録を手書きで作成するのはとりわけ大変でした。土地や建物の所在地や面積などを間違えないように書かないといけません。「体力的に自筆するのが難しい」という場合でも、代筆は認められていませんでした。こうした負担が減ることで、ちゅうちょしていた人も遺言書を作りやすくなるのではないでしょうか。
実際、日本の遺言書の作成率は諸外国に比べて低いと言われています。そもそも遺言書には、相続争いを防ぐ効果があります。自分が死亡したときに、財産をどう分配するか。遺言者の意思を遺産分割に反映させて、実現していくための大切な手段なのです。
ちなみに、遺言書の本文は改ざんされないよう万年筆などで書きます。用紙の規定はありません。表題に分かりやすく「遺言書」と記し、相続人の名前と「財産目録の○と△を相続させる」などと明記するのがポイントです。末尾に作成した年月日と署名・押印も忘れないでください。
<2020年4月27日 中国新聞掲載>