農地等納税猶予税額の納付
農地等納税猶予税額を納付しなければならなくなる場合
次のいずれかに該当することとなった場合には、その農地等納税猶予税額の全部または一部を納付しなければなりません。
- 特例農地等について、譲渡等があった場合
譲渡等には、譲渡、贈与もしくは転用のほか、地上権、永小作権、使用貸借による権利もしくは賃借権の設定もしくはこれらの権利の消滅または耕作の放棄も含まれます。 - 特例農地等に係る農業経営を廃止した場合
- 継続届出書の提出がなかった場合
- 担保価値が減少したことなどにより、増担保または担保の変更を求められた場合で、その求めに応じなかったとき
- 都市営農農地等について生産緑地法の規定による買取りの申出または指定の解除があった場合や都市計画の変更等により特例農地等が特定市街化区域農地等に該当することとなった場合
(その変更により田園住居地域内農地または地区計画農地保全条例制限区域内農地でなくなり、特定市街化区域農地等に該当することとなった場合は除きます。) - 特例の適用を受けている準農地について、申告期限後10年を経過する日までに農業の用に供していない場合
(注1)区分地上権(民法第269条の2第1項に規定する地上権)を設定した場合でも対象農地を引き続き耕作等する場合には、納税猶予が継続されます。(平成28年4月1日以後の区分地上権の設定が対象です。)
(注2)地上権、使用貸借権、賃借権等を設定した場合でも一時的に道路用地等に貸し付ける一定の場合や農用地利用集積計画に基づくもの等で一定の要件を満たす特定貸付け等は、納税猶予が継続されます。
(注3)耕作の放棄は、農地について農地法第36条第1項の規定による勧告(農地が農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第3項に規定する農地中間管理事業の事業実施地域外に所在する場合には、農業委員会等から所轄税務署長に対し、農地が利用意向調査に係るものであって、農地法第36条第1項各号に該当する旨の通知をするときにおけるその通知をいいます。)があったことをいいます。
納付すべき税額に係る利子税
上記の「農地等納税猶予税額を納付しなければならなくなる場合」により納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、次の区分によりそれぞれに掲げる割合で利子税がかかります。
- 特例農地等のうちに相続または遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有する農業相続人
・・・年3.6パーセント - 特例農地等のうちに相続または遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有しない農業相続人
・・・次のIまたはⅡに掲げる部分に応じ、それぞれ次に掲げる割合
- 特例農地等のうちに相続または遺贈により取得をした日において市街化区域内農地等(田園住居地域内農地または地区計画農地保全条例制限区域内農地であって三大都市圏の特定市の区域内に所在するものおよび生産緑地等を除きます。)であるものに対応する部分の金額を基礎とする部分
・・・年6.6パーセント - I)以外の部分
・・・年3.6パーセントただし、各年の利子税特例基準割合(注1)が7.3パーセントに満たない場合は、以下のとおりとなります。
※0.1パーセント未満の端数は切り捨て、その割合が0.1パーセント未満の割合である場合は年0.1パーセント
~例~
利子税特例基準割合(注1)が1.0パーセントの場合
割合が年6.6パーセントの場合:0.9パーセント
割合が年3.6パーセントの場合:0.4パーセント
(注1)平均貸付割合(各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合をいいます。)に、年0.5パーセントの割合を加算した割合をいいます。
手続き
特例の適用を受けるための手続等については、次のとおりです。
- 相続税の申告手続
相続税の申告書に所定の事項を記載し期限内に提出するとともに農地等納税猶予税額および利子税の額に見合う担保を提供することが必要です。申告書には相続税の納税猶予に関する適格者証明書や担保関係書類など一定の書類を添付することが必要です。 - 納税猶予期間中の継続届出
納税猶予期間中は相続税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨および特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書(この届出書を「継続届出書」といいます。)を提出することが必要です。