相続税の申告書を提出した後、税務署が調査に来るのでは?と、心配されながらお過しの方も少なくありません。
では、相続税の調査は、いつ行われるのでしょう?
税務署が課税できる時効は、申告期限から5年とされています。ですから、申告されてから5年は調査の可能性があるといえます。
しかし、税務署には随時相続税の申告書が提出される訳ですから、期間が経過するほど調査の可能性は低くなる傾向にあります。
税務署の内部ルールでは、年分でひとくくりにして調査を行う時期を決めており、例えば平成29年中に亡くなられた方の相続税については、令和1年7月~令和2年6月の間に調査を行うこととしています。
これは、税務署の事務運営スケジュールが関係していて、税務署では、7月に人事異動があるため、事務年度が7月から翌年6月末の1年間とされていることからです。
具体的に言うと、平成29年4月に亡くなった方の相続税は、申告期限である10カ月後の平成30年2月までに提出され、翌年の令和1年7月以降に調査を実施するという流れです。
あれっ!平成30年2月から翌年の7月までの間はずいぶん期間が空くけど、その間はほったらかし?
そう思われる方もいらっしゃると思いますが、税務署はそんなに甘くありません。
相続税の申告書が提出されてから、税務署では申告審理といって、申告内容が正しいかどうかのチェック作業、調査の下調べに入ります。
まず、簡易審理で単純な計算誤りがないかなどの確認を行います。
その後、亡くなられた方とその関係者の名義で取引されている金融機関へ、過去の取引状況の文書照会を行います。
また、部内資料といって、亡くなられた方やその関係者に関する税務署での蓄積資料、例えば過去の申告情報や提出書類、法定資料などを収集します。
これらの収集した資料を基に、5月から6月の間に、次に調査対象とする事案を選定するための作業を行い、秘かに調査計画を進めているのです。
また、税務署では7月は異動後の整理などがあり、1月から4月は確定申告に関する事務が行われ・・・ということで、一般的には相続税の税務調査の可能性が高い時期は、亡くなられた年の2年後の8月から12月の間と思っていただければと思います。