日程調整のうえ、いよいよ税務調査となりますが、調査はどのくらいの期間行われるのでしょうか?通常の相続税の税務調査であれば、およそ1ヶ月くらいの期間が目安です。
臨宅調査
まず、最初の1日目は、自宅に調査官が2名程度でやってきて、亡くなられた方の概要を聞かれます。
これを「臨宅調査」といいます。
亡くなられた方の人となり、趣味嗜好、仕事内容、財産形成状況、財産管理運用状況、家族の状況、家族の仕事内容、生前贈与の状況、などなどを聞かれ、この作業に午前中の3時間程度が見込まれます。
現況調査
昼食後、「家の中を確認させてください。」と調査官から言われます。これを「現況調査」といって、何か有効な手掛かりがないかと調査官がいろんな部屋をチェックして回ります。
税務調査は任意調査ですので、これはもちろん断ることもできますが、よほど見られて困るもの、やましいものがない限りは協力した方が無難でしょう。
現物確認調査
また、自宅に金庫や倉庫、蔵などがあれば「その中に保管しているものを確認させてください。」と調査官から言われ、特に入念にチェックされます。
この現況調査で把握された通帳や証書、現金、保険証券、権利証、契約書などをコピーしたりデジカメで記録するとともに、記載内容をチェックしていきます。
これを「現物確認調査」といって、申告に計上されていない財産がないかという視点で確認することはもちろんですが、申告に計上されている財産がそこにない場合、他に保管場所があるのではないか、何か隠しているものがあるのではないかという視点でもチェックしています。
反面調査
これで1日目は終了し、後日、調査官が金融機関や関係先を回ります。
これを「反面調査」といって、申告している内容や、相続人の方の言っている言葉が真実かどうかということを調べていきます。
特に金融機関での調査は力を入れて行われます。
余談ですが、税務署の中ではそれぞれ税目によって担当部門が分かれていて、個人の所得税を担当する部門は個人課税部門、会社の法人税を担当する部門は法人課税部門、そして相続税などの個人資産に関する税金を担当する部門が資産課税部門といって、この資産課税部門の職員は税務職員の中でも金融機関調査に行く機会が多いので、金融機関の調査能力には長けていると言われています。
再臨宅調査
この金融機関調査、反面調査によって調査項目が解明されたり、さらに確認事項などが抽出されると、税理士を通じて再度調査官が臨宅調査の日程調整をしてきます。
これを「再臨宅調査」といって、ここである程度の問題事項が提示されるか、申告に問題はありませんでした、となるかは当初の申告内容次第ということです。