相続の知識

【警告】相続税は「10人に1人」の時代へ―課税割合上昇の実態とその背景③

課税割合上昇の実態とその背景

2024年の統計では相続税の課税割合が10%を超え、東京圏ではさらに高水準です。
相続税は富裕層だけの問題ではなくなりつつあります。
本稿は国税庁データに基づき実態と背景、実務上の対策の要点を整理します。

相続税対策としての資産構成の見直し

相続税への備えとしては、生前贈与や生命保険の活用など複数の手法が存在しますが、その一つとして「資産の評価方法の違い」に着目した資産構成の見直しが検討されます。税額の大小だけでなく、資金需要や分割のしやすさも含めて総合的に判断することが重要です。
現金・預貯金は額面、上場株式は原則時価で評価されるのに対し、不動産は路線価や固定資産税評価額を基準に評価されます。評価差だけを目的に資産移転を行うと、流動性低下や分割協議の難航など別のリスクが生じ得ます。
近年はマンション評価ルールが見直され、令和6年以降、評価額が市場価格の一定水準(概ね6割)を下回る場合は補正が行われます。
従来の前提で「大幅に評価額を下げられる」と見込む判断は避けるべきです。
不動産への組替えは、評価面のメリットがあっても、流動性・価格変動・維持管理コスト等の負担を伴います。
小規模宅地等の特例や居住実態の要件も含め、「誰が住むか」「売却可能性」「分割のしやすさ」を前提に個別に検討することが不可欠です。
金融資産の比率が高い場合、相続税対策の観点から「放置しない」ことが重要です。選択肢の一つとして、都心部の分譲マンション等を活用し、子や孫に居住させるケースもあります。
ただし、税務上の効果は物件の評価水準、取得資金の出所、居住実態、小規模宅地等の特例の適用可否、将来の売却可能性や維持費負担によって大きく左右されるため、「最適解」と断定せず、家族の事情に即して検討すべきです。
相続税を巡る環境は変化しており、画一的な方法ではなく、制度理解と冷静な判断に基づく資産設計が求められます。
まずは財産目録を作成し、評価の前提(所在地・持分、名義、契約形態等)を整えたうえで、家族の事情に即した選択肢を比較検討することが重要です。
早い段階で概算の見立てを持っておけば、相続発生後に慌てて判断する場面を減らし、結果として税務・分割・納税資金の各リスクをバランスよく管理できます。

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