課税割合上昇の実態とその背景
2024年の統計では相続税の課税割合が10%を超え、東京圏ではさらに高水準です。
相続税は富裕層だけの問題ではなくなりつつあります。
本稿は国税庁データに基づき実態と背景、実務上の対策の要点を整理します。
相続税は「10人に1人」の時代へ
国税庁が公表した令和6年分の相続税の申告事績によれば、相続税が課税された被相続人数は166,730人となり、同年の死亡者数1,605,378人に対する課税割合は10.4%に達しました。
この水準は、基礎控除が引き下げられた平成27年以降においても最高水準であり、また課税割合が1割を超えたのは昭和42年分以降で初めてとされています。
申告税額の総額も3兆2,446億円に達しており、相続税の負担感は着実に高まっています。
このような課税割合の上昇は単一の要因で説明できるものではありませんが、背景としては、基礎控除の引き下げ後の制度定着に加え、地価や金融資産価格の上昇などが影響している可能性があります。
とりわけ資産価格の上昇は、同じ生活水準・同じ資産構成であっても評価額が押し上げられやすく、結果として申告対象に該当する世帯が増える方向に作用します。
なお、令和6年分の課税価格の合計額は23兆3,846億円であり、その内訳を見ると、現金・預貯金等が34.9%、土地が約30%、有価証券が約18%を占めています。
資産価格の変動が、結果として課税対象の拡大に一定の影響を与えていると考えられます。
もっとも、統計は平均像を示すものであり、個々の家庭の相続税負担は相続人構成や特例の適用状況によって大きく異なります。

