相続の知識

【2028年スタート】自社株評価が62年ぶりに激変!―相続税が”倍増”する前に中小企業経営者がやるべき自社株対策とは①

自社株対策

中小企業オーナーの自社株評価ルールが約60年ぶりに見直され、相続税が大幅に増える可能性が高まっています。何が変わるのか、経営者が今すぐ着手すべき自社株対策を解説します。

なぜ今、自社株(取引相場のない株式)の評価が見直されるのか

今回の見直しの引き金を引いたのは、2024年の会計検査院の指摘です。令和2・3年分の相続税・贈与税申告1,600件を抽出して検査したところ、深刻な「評価の歪み」が公式に確認されました(「令和5年度決算検査報告」)。
第一に、同じ会社の株式を評価したとしても、類似業種比準方式と純資産価額方式とで評価額に大きな開きが生じている問題です。
会計検査院の検査では、類似業種比準価額の中央値(11,622円)は、純資産価額の中央値(42,648円)の約27%、およそ4分の1の水準にとどまっていました。同じ株式の評価額が、計算方法を変えるだけで3倍以上も動き得るということです。
また、会社の規模が大きいほど、純資産価額に比べて類似業種比準価額が低く算定される傾向も指摘されており、規模区分の違いだけで評価額に段差が生じています。会社の実態は変わらないのに、計算方法や規模区分しだいで相続税の負担が大きく変わる——この構造的な歪みが、長年放置されてきたのです。
第二に、配当還元方式の還元率の問題です。
昭和39年(1964年)の制定時に「10%」と定められた還元率が、その後の長期的な金利低下にもかかわらず62年間一度も見直されてきませんでした。
低金利が常態化した現在から見れば10%は明らかに高すぎで、現在の配当還元方式による株価評価が著しく低く算定されてきました。
国税庁自身が令和4・5年分で実施した自主的な分析でも、対象700社の類似業種比準価額÷純資産価額の中央値は0.27倍と、検査院とほぼ同じような乖離が確認されました。
さらに、そのうち約82%が評価直前2期において無配当であり、配当が比準要素としてまったく機能していない実態も明らかになりました(国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第1回資料)。
長年「自社株対策」「株価対策」として活用されてきた手法の前提そのものが、いま根底から揺らいでいるのです。
問題の核心は、現行の評価方式が「上場企業の株価」と「制定当時の金利」という、いずれも現実から乖離しかねない物差しに依存している点にあります。中小企業の自社株式は市場で取引されないからこそ簡便な算式で評価せざるを得ませんが、その計算式自体が時代に合わなくなっています。
経営者にとっては、これまで「低く評価できて当然」だった自社株式が、改正後は本来の企業価値に近い水準まで引き上げられ、相続税・贈与税の負担が一気に膨らむ恐れがあります。
だからこそ、改正の全体像を早期に把握しておく価値があるのです。

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