レディオモモ「まかせて相続」(令和2年10月15日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
お客さまからよくあるご相談で、父親が所有する実家を息子が増改築や内装工事など、リフォームをして親と同居することになりました。リフォーム代金は息子が銀行で借り入れをして支払う予定です。
課税関係で何か問題ないですか?
と質問があります。
このケースでは、いくつか注意する点があります。
今日は、「父親の所有家屋を息子が増改築した場合」の注意点についてお話ししたいと思います。
注意する点はいくつあるのでしょうか。
おおきく分けて3つあります。
贈与税、譲渡所得、住宅ローン控除です。
では、最初は贈与税の注意点からお願いします。
はい。
その前に、民法242条の不動産の付合(ふごう)について、ザックリとお話しします。
例えば、不動産に、不動産とは異なる所有者の動産が付着して、その付着したものを分離することが、社会経済上 不利益となるような場合は、不動産の所有者は付着した動産の所有権を取得する。ということです。
子供がお父さんの家屋をリフォームすると、リフォームした部分もお父さんの所有となるんですね。
はい、そうなんです。
リフォーム部分が父親の所有となってしまうので、民法上では、息子は父親にリフォーム代金を請求することができますが、通常行われません。
すると、息子は費用請求を免除したことになり、父親はリフォームという経済的利益を受けますから、父親は息子から贈与を受けたとみなされることになります。
つまり、リフォーム代金が110万円を超えると、父親は贈与税が課税されることになります。
何か救済措置はないんですか。
救済措置はあります。
息子が支払ったリフォーム代金に相当する建物の持分を、父親から息子へ移転させて、家屋の所有を、父親と息子の共有とすれば、贈与税は課税されないこととなっています。
なるほど、そのように対処すれば贈与税は課税されないんですね。
では、譲渡所得の注意点をお願いします。
先ほどの救済措置、息子が支払ったリフォーム代金に相当する建物の持分を息子に移転するということは、対価性を伴う移転ですので、父親は建物持分を息子に売買したことになります。
不動産の売買なので、分離課税の譲渡所得が発生するか計算し、所得が出れば、所得税が課税されることになります。
贈与税の救済措置をすることで、譲渡所得の課税問題が発生するんですね。
ただ、譲渡所得は、家屋の取得費を超える金額で売買した時に発生します。赤字となれば、所得税は課税されません。譲渡所得の計算をしてみないと何とも言えませんが、だいたいは赤字となるので、所得税が課税されにくくなっています。
なるほど、所得税がかかる場合があるかもしれないので注意しないといけませんね。
では、最後の住宅ローン控除をお願いします。
今回の相談では、息子が住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
ほかの要件は全て満たしている前提でお話しすると、住宅ローン控除は、息子が所有する家屋でなければ受けられません。
贈与税の救済措置で、息子は家屋の持分を取得しますが、その前に、息子は家屋の持分を持っている状態で増改築しないと、住宅ローン控除を受けることができないんです。
何か対応策はないんでしょうか。
対応策はあります。
増改築する前に、少しでもいいので、父親から息子に家屋の持分を移しておくことです。
住宅ローン控除は、息子が所有する家屋でなければ受けられませんが、100%所有でなくても構いません。少しの持分でも所有していれば大丈夫です。
110万円以下となる持分を父親から息子に贈与した後に増改築すれば、住宅ローン控除を受けることができます。
なるほど、そのように対応しておけば大丈夫なんですね。
父親から息子へ移す家屋の持分計算、譲渡所得が発生するかどうかの所得計算で悩まれたら、事前に税理士などの専門家に相談されることをお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんにお越しいただきました。ありがとうございました。