FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和4年3月18日)」に出演しました。
毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満にそして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。
お話をお伺いするのは円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズ(タカパー)の 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。
ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズ(タカパー)の寺尾です。
寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、今日はどんなお話をしてくださいますか。
今日は遺産の分け方のひとつである「換価分割」について詳しくご案内したいと思います。
「換価分割」ですね。よろしくお願いします。
まず「換価分割」とは亡くなった人の相続財産を売却して、相続人間でその売却代金を分け合うという方法です。
相続財産の多くが不動産や有価証券などであった場合、相続人同士で均等に分割することが難しくなります。
こんな時に選択される分割方法が「換価分割」です。
財産を売却して、そのお金を分け合うという分割方法ですね。
はい、そうです。
この換価分割にはメリットもありますがデメリットもあったり相続手続きの流れや遺産分割協議書の記載の仕方そして税金関係についてなど気を付けなければならないポイントがいくつかありますので、その点を整理してご案内したいと思います。
はい、よろしくお願いします。
まず、換価分割には4つのメリットがあります。
1つ目が、換価分割を行う場合、売却後に得た現金を相続人間で決めた割合で分配できるため相続人の人数が多い時でも公平に分割がしやすいという点
2つ目が分配するお金は売却代金で賄うため自己資金の必要がないという点
3つ目は相続財産の多くが不動産などで預金が少ない場合でも売却することで相続税の納税資金を捻出できるという点
そして、4つ目は不動産の相続税評価額は売却金額の8割程度で設定されていることから生前に売却してお金を用意しておくよりも、相続後に売却することで相続税の節税になる可能性があるという点です。
なるほど、4つのメリットですね。
次にデメリットですが、これは3つあります。
1つ目が不動産はあまり売り急いでしまうと安く買い叩かれるなど、希望額で売れない可能性があるという点
2つ目が売却する際に仲介業者への手数料や測量、境界確定などの諸費用がかかるという点
3つ目は売却した代金からその不動産の取得費や譲渡費用を差し引いて売却益が算出された時は、譲渡所得税が課税されるという点です。
メリットとデメリット、それらを踏まえて換価分割を選択するかどうかを考える必要があるということですね。
はい、そのとおりです。
次に、換価分割を選択した場合の手続きの流れですがまずは換価分割する財産がいくらで売れるのか、その財産価値を調べるということから始まります。
不動産であれば、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
そして、換価分割する財産を含むすべての財産について、相続人間で分割協議を行い、「遺産分割協議書」を作成します。
この遺産分割協議書により不動産の相続登記を行いますので、「共同名義」にするのか、「代表者名義」にするのかを決めておきます。
代表者名義にすると、スムーズに売却手続きができるというメリットはありますが、売却代金を他の相続人に分配する際に「贈与」とみなされないために、遺産分割協議書に細かい規定を記載することが必要になります。
記載の仕方で税金の取り扱いが変わってくるんですか。
そうなんです。
簡単にご説明すると「換価目的である旨」と「売却代金の分配率」を漏れなく記載することが必須となるなどの注意が必要です。
また、相続登記にかかる費用についても遺産分割協議書に記載しておくのが一般的です。
ここは専門家に任せた方が良さそうですね。
はい、そうしてください。
次に相続人間で、最低売却額はいくらにするか、またいつまでに売却するかとか不動産業者はどこにするかなど売却方針を決めます。
その後、売却先が決まったら売買契約を締結し代金を受領します。
この時相続人の口座を利用すると、個人のものと混在する可能性があるので、相続専用の口座を利用されることをお勧めします。
そして、諸経費などを差し引き分割協議で決めておいた割合で売却代金の分配を行います。
換価分割は売却するまでの手続きにちょっと手間取りそうですが相続人間の公平な分割には良さそうですね。
そうですね。
最後に換価分割をした場合の税金関係についてご説明します。
まず、相続税ですが、先ほどもメリットのところでお伝えしましたが、相続税の場合は相続税評価額で計算しますので、売却代金が相続税評価額を上回ってもそれは相続税には影響しません。
逆に下回ったとしても同じく影響しません。
そしてその売却物件を含めた相続財産のすべての財産の合計額が相続税の基礎控除額を超えると相続税の申告が必要になります。
売買価額と相続税は関係ないんですね。
はい、そうです。
次にデメリットでお伝えした売却した際の譲渡所得税ですが売却した代金からその不動産の取得費や譲渡費用を差し引いて売却益が算出された時は譲渡所得税が課税されるとご説明しましたがここで税金がかかるのはその換価分割により分配金をもらう相続人全員で分配割合による金額となります。
ですから、代表者名義で売却したとしてもその人だけに譲渡所得税がかかる訳ではありません。
またこのことから代表相続人から売却代金の分配があったとしても、それは遺産分割に基づくものであり、単に換価のための便宜的な手続きですので贈与税は課税されないこととなります。
なるほど。
換価分割は相続人が相続財産の保有を希望せず相続人同士で均等に財産を分配したい場合に選択される分割方法です。
換価分割のメリット、デメリットを踏まえ検討を考えておられる方は相続に強い各専門家に相談されることをお勧めします。
寺尾さん、本日もありがとうございました。