ラジオ出演

相続の基礎知識③

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和元年10月18日)」に出演しました。

ラジオ出演内容

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に際し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、本日は、どんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日は、前回に引き続き、相続の基礎知識について項目別に整理してポイントを説明させていただきます。

FM ちゅーピー

前回は、相続税の基礎控除、法定相続人、相続税の対象財産などについて教えていただきました。

寺尾大介

はい、そうでしたね。
今日は、相続人が確定し、財産の概要も把握できてきたら、次にその財産をどう分けるのか?という「遺産分割」の手続きについてご説明していきたいと思います。

FM ちゅーピー

「遺産分割」、つまり、相続財産を誰がいくらずつもらうのかということですね。

寺尾大介

はい、そうですね。
それでは、法律で定められた「遺産分割」の方法を整理していきますと、まずは、以前ご説明した「遺言」に基づく分割です。
被相続人の死後に、遺言書が発見された場合、この遺言書の内容が法定相続よりも優先されます。
つまり、相続人や相続分に関係なく、遺言書に書かれた内容に従って相続が行われることになり、この遺言による分割のことを「指定分割」と言います。
これは、相続にできる限り被相続人の意思を反映させようとするためのもので、遺言書があれば法定相続人以外の、例えば内縁の妻や孫、生前に面倒をよく見てくれた長男の妻などにも財産を分けることができます。
ただし、遺言書の形式は法律で厳格に規定されていますので、形式が整っていないと無効になる場合もありますから注意が必要です。

FM ちゅーピー

遺言については、以前しっかり説明してもらいましたので、パッと理解できます。

寺尾大介

ありがとうございます。
次に、「法定相続分」による分割です。法律では、血縁関係に応じて「相続分」、つまり、相続できる権利割合を定めています。
前回「法定相続人」についてのご説明をしましたが、その「法定相続人」の順位によって、配偶者とそれ以外の相続人の「法定相続分」が決められていますので、それぞれご説明していきますと、まず、配偶者と子供さんがいる場合の法定相続分は、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子供さんの人数で頭割りします。
つまり、子供さんが3人いる場合、2分の1を3人で割るので、6分の1ずつが子供の法定相続分となります。
次に、配偶者と父母が相続人の場合、配偶者が3分の2、残りの3分の1を父母の人数で頭割りします。
そして、子供さんも父母もいない場合は、兄弟姉妹が法定相続人となり、配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟姉妹の人数で頭割りします。

FM ちゅーピー

配偶者の法定相続分は、他の相続人が誰になるかで変わってくるんですね。

寺尾大介

そうですね。
基本的には、相続は次の世代へ財産を引き継いでいくというものですので、配偶者と子供には相続分が手厚くなっているのだと考えられます。
そのため、子供さんが被相続人である親より先に亡くなっていて、亡くなった子供に子供、つまり被相続人の孫がいた場合には、その孫が相続権を引き継ぐこととなっており、これを「代襲相続」と言います。

FM ちゅーピー

代襲相続の場合は、相続分はどうなりますか。

寺尾大介

親の相続分をそのまま引き継ぐこととなりますが、代襲相続人が複数人いる場合は、その人数で親から引き継ぐ相続分を頭割りすることとなります。

FM ちゅーピー

なるほど。
で、もしそのお孫さんも亡くなられていて、ひ孫がいたら、そのひ孫がさらに代襲相続人となるんですか。

寺尾大介

そのとおりです。
あまり多くはない事例ですが、制度的にはそうなっています。
ただ、今後の超高齢化社会においては、そういう事例も増えてくると思います。

寺尾大介

次に、遺言がない場合や、法定相続分によらない場合、現実的には最も多い分割方法である「遺産分割協議」についてご説明します。
「遺産分割協議」は、相続人全員の話し合いで分割内容を決めていく方法です。
意見がまとまらないからといって多数決で決めることはできませんし、相続人の一人でも分割内容に納得できない場合は、遺産分割は成立しません。話し合いがまとまった時には、その分割内容を取りまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員がその内容を承諾したことを記録しておきます。
この「遺産分割協議書」の内容に従って様々な名義変更手続きを行うことになりますので、「遺言書」と同様に、作成には注意が必要です。

FM ちゅーピー

「遺産分割協議書」の作成にあたって、何か気を付けるポイントはありますか。

寺尾大介

ひな形はネットなどでも掲載されていますので、ご確認できます。
留意点としては、不動産の記載の仕方を登記簿謄本の記載にあるとおりに記載するという点と、住所氏名の記載は、戸籍上の正式な文字を使用し、実印を押す、というところです。
また、不動産の名義が先代のままであったり、共有であったりする場合も多少複雑になりますので、そのような場合には司法書士の先生にご相談されることをお勧めします。

FM ちゅーピー

不動産の記載方法に気を付けて、正式な文字と実印を使用することですね。

寺尾大介

はい、そうです。
そして、分割の仕方には3つの方法がありますので、簡単にご説明しますと、まず1つ目は、一般的な方法の「現物分割」です。
これは、例えば、不動産はAに、預金はBに、その他の財産はCにというように、どの財産を誰が相続するかを現物によって決める方法です。
2つ目は「換価分割」です。
例えば不動産が相続財産の大半を占める場合など、その不動産を売却して、売却したお金を相続人間で分ける方法です。
「換価分割」のデメリットは、売却時に譲渡所得税が課税されたり、処分に手間と費用がかかるという点です。
3つ目は「代償分割」です。
一部の相続人が、相続財産を法定相続分以上に多く相続し、不公平が生じた部分について、その代償として他の相続人に金銭を渡すという方法です。

FM ちゅーピー

「現物分割」と「換価分割」、そして「代償分割」ですね。
よく覚えておきます。

寺尾大介

はい、よろしくお願いします。

寺尾大介

そして、最後に、分割方法ではありませんが、参考として、借金などのマイナスの財産が多い時など、何らかの理由で相続人になりたくない、相続財産はいらないという場合に、相続開始から3か月以内に「相続放棄」と「限定承認」という手続きをすることができます。
「相続放棄」は相続権そのものを放棄しますので、借金を背負わなくても済みますが、プラスの財産を取得することもできなくなります。この「相続放棄」は、各相続人が単独で行うことができます。
「限定承認」は、相続財産のプラスの範囲でマイナス財産も引き継ぐという制度です。この「限定承認」は、相続人全員で行う必要があります。

FM ちゅーピー

借金などのマイナス財産が多い場合には、「相続放棄」や「限定承認」という方法もあるということですね。

寺尾大介

はい、そのとおりです。
相続税の申告書には「遺産分割協議書」の添付が必要ですので、「遺産分割」の方法は、相続税の申告期限内に円満に決めていただきたいところですが、やむを得ず協議がまとまらない場合も当然あります。
そのような場合の申告は、未分割の状態でいったん申告書を提出し、その後分割が確定したら、訂正申告を行う、という流れになりますので、詳しくは当所の無料相談などでご相談いただければと思います。

FM ちゅーピー

寺尾さん、本日もありがとうございました。

相続の基礎知識(相続の手続き)

相続の基礎知識②(相続税の基礎知識)

相続の基礎知識④(生前対策について)

相続の基礎知識⑤(「納税資金対策」について)

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