相続の知識

限定承認

限定承認の方法

限定承認は、プラスの財産の範囲内で債務を相続する方法です。
具体的な手続きを説明します。

①相続財産の把握・限定承認の判断

まず、亡くなった人の相続財産と借入金の額を調べ、限定承認をするかどうか考えます。

②家庭裁判所への申述

限定承認をする人は相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して限定承認申述書により、申述します。
なお、相続人が複数いるときは、全員が共同して行います。単独ではできません。

必要書類

  • 亡くなった人の財産目録
  • 限定承認申述書
  • 申述人全員の戸籍謄本
  • 亡くなった人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
  • 亡くなった人の住民票除票又は戸籍附票
  • 収入印紙800円
  • 連絡用の郵便切手

③審判・受理

家庭裁判所は審理を行い、申述が要件を満たしていれば受理し、不適法の場合は却下します。

④相続財産管理人の選任

家庭裁判所は申述を受理すると、相続人が複数いる場合は相続人の中から相続財産管理人を選任します。(相続人が1人の場合はその者が相続財産管理人になる)※弁護士に依頼するほうが賢明かと思います。

⑤限定承認による清算手続き

限定承認が受理された場合、できるだけ速やかに、相続財産の中から債権者等に対して、債務の弁済を行っていかなければなりません。
清算手続きは、④で選任された相続財産管理人が下記に従い、行っていくことになります。

限定承認による清算手続きの流れ

  1. 債権者等に対する公告
    一定の期間を定めて債権者等に対して、債権の申出を公告します。
  2. 配当弁済の手続き
    財産の換価等により、債権者等に対して配当します。場合によっては競売を行うこととなります。
  3. 残余財産
    債権者等の全てに配当し、更に残余財産がある場合には、相続人が取得することになります。

ここが重要!

財産の換価(特に不動産)は所得税法上、時価で売却して債務を弁済するものとみなされるので、譲渡所得となります。(これを「みなし譲渡」といいます)
相続税がかからなくても、この譲渡所得の負担が重くなることがあります。また弁済した債務は、この場合の必要経費にはなりません。

~おわりに~

以上、限定承認の手続きについて簡単に解説しましたが、手続自体非常に煩雑であり、相続財産管理人の責任も重い上、「みなし譲渡」による所得税がかかる場合があることを考えますと、限定承認をするか否かは、慎重に判断すべきだと思います。

関連記事

LINE 友だち追加
LINE
相続の知識

最近の記事

  1. 相続人に行方不明者がいたらどうなる・・・?税理士が解説!

  2. 相続登記のことAIに聞いてみた!

  3. 相続のことAIに聞いてみた!

月間アーカイブ