相続の知識

医療法人の持分についての相続税の納税猶予の特例②

医療法人持分納税猶予額の納付

(1)医療法人持分納税猶予税額を納付しなければならない場合

納税猶予を受けている相続税額は、次の表に掲げる場合に該当することとなったときは、その相続税額の全部または一部を納付しなければなりません。

医療法人持分納税猶予税額の全部確定

  1. 相続税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合
  2. 相続税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分の譲渡をした場合
  3. 認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、新医療法人への移行をしなかった場合
  4. 認定医療法人の認定移行計画について、厚生労働大臣の認定が取り消された場合
  5. 認定医療法人が解散をした場合(合併により消滅をする場合を除きます。)
  6. 認定医療法人が合併により消滅をした場合(合併により医療法人を設立する場合において相続人等が持分に代わる金銭その他の財産の交付を受けないときなど一定の場合を除きます。)

医療法人持分納税猶予税額の一部確定

認定医療法人が認定移行計画に記載された移行期限までに、基金拠出型医療法人への移行をする場合において、相続人等が認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分を基金拠出型医療法人の基金として拠出したとき

(2)利子税

上記(1)により納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、年6.6パーセントの割合で利子税がかかります。
ただし、各年の利子税特例基準割合が7.3パーセントに満たない場合には、その年中においては次の算式により計算した割合が適用されます。

\[(算式)6.6%\times利子税特例基準割合\div7.3%\]

※0.1パーセント未満の端数は切り捨て、その割合が0.1パーセント未満の割合である場合は年0.1パーセント

(例) 利子税特例基準割合が0.9パーセントの場合:0.8パーセント

「利子税特例基準割合」とは平均貸付割合(各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合をいいます。)に、年0.5パーセントの割合を加算した割合をいいます。

納付義務の承継

認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、この特例の適用を受ける相続人等が死亡した場合には、その相続人等に係る医療法人持分納税猶予税額の納付義務は、その相続人等の相続人が承継することになります(死亡した相続人等に係る医療法人持分納税猶予税額は、免除されません。)。

申告等の方法

この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を期限内に提出するとともに医療法人持分納税猶予税額および利子税の額に見合う担保(この特例の適用を受ける認定医療法人の持分でなくても差し支えありません。)を提供する必要があります。

相続人等が、担保を提供する時において有している認定医療法人の持分のすべてを担保として提供した場合には、医療法人持分納税猶予税額および利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。その際の提出書類は次に掲げるとおりです。

認定医療法人の持分のすべてを担保とする場合の担保提供関係書類

  • 相続人等が有する認定医療法人の持分についての質権設定の承諾書
  • 印鑑証明書(質権設定の承諾書に押印したもの)
  • 特例の適用に係る認定医療法人が、相続人等が有する持分に質権を設定されることについて承諾した旨が記載された公正証書など、租税特別措置法施行規則第23条の12の8第1項第3号に規定する書類

申告先等

所轄税務署

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