相続税額計算の流れ
- 故人の財産を集計します。
- 財産の合計額から故人の債務を差し引きます。(これを債務控除といいます)
- 相続開始前3年以内の贈与財産を加えます。
- 基礎控除(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))を差し引きます。
- 相続税の基礎となる金額が決定します。
この金額を各法定相続人が法定相続分に応じていったん相続したものとみなした金額に相続税の税率を乗じて、相続税の総額が決定します。
ここでは債務控除について内容を確認してみましょう。
債務控除は大きく分けて債務と葬儀関連費用に分けられます。
控除対象となる債務例
- 故人の借入金(団体信用生命保険付ローン等返済不要のものを除く)
- 未払医療費
- 未払の公租公課(所得税や固定資産税等)
- 預り敷金等(入居者等に返還しなければならないもの)
- 合名会社の債務超過分
覚えておこう
合名会社はお得?
故人が合名会社の無限責任社員である場合には、故人の負担すべき持分に応する会社の債務超過分を控除することができます。
タカハシパートナーズでは合名会社の設立による、相続税対策をおススメしております。お気軽にお問い合わせ下さい。
預り敷金は故人の債務として控除できますが、見落とされがちです。
生前より分かりやすく整理しておきましょう。
続いて、控除対象とならない債務を確認していきます。
控除対象とならない債務例
亡くなった後に発生する費用
相続財産の名義変更費用(登録免許税、 司法書土報酬など) や相続税申告にかかる税理土報酬、遺産分割交渉等に係る弁護土報酬、 戸籍謄本など身分関係書類を取得するための諸費用は控除することはできません。
相続財産の維持にかかった費用
相続が確定するまでの間、庭木の手入れなどお遺産の維持に支払った費用があったとしてもその費用は相続開始時に現に存在していないため、控除することはできません。
保証債務
故人が保証人となっている保証債務は、あくまで未確定な債務であり、確実な債務と認められないため、原則として控除することはできません。
覚えておこう
医療費における相続税と所得税の関係
同一生計の親族が支払った故人の医療費は相続税の債務控除と支払った親族の所得税の医療費控除の両方を適用することができます。
相続税と所得税の両方の申告で適用できる場合がありますのでこ不明の際はタカハシパートナーズヘこ相談ください。
生前対策のヒント
ご自身の財産状況を正確に把握しておきましょう。
相続が開始した後、相続人が故人の友人や知人を名乗る者から「故人に貸したお金を返してほしい」と、ある日突然請求されるということも考えられます。
こういった揚合、借入金の有無とその額を、相続人がすみやかに把握できる状態にしておけば、相続人は余裕をもって対応することができます。
相続人が後日発覚した債務・負債の返済に悩むことのないよう、残される家族のために、エンティングノート等でなるべく正確に財産状況を把握して伝える工夫をしておきましょう。
つぎに、葬儀関連費用についてみていきましょう。
控除対象となる葬儀関連費用
- 通夜費用、火葬、埋葬費用
- お寺へのお布施、読経料、戒名料
- お葬式当日の飲食等に要した費用で通常葬式に伴うと認められるもの
- ご遺体もしくは遺骨の運搬費用
葬儀関連費用は、相続開始時に現存する債務ではありませんが、相続開始に伴う必然的出費であり、相続人は葬儀関連費用を負担するのが通例なので債務控除することが認められています。
ただし、控除することができない葬儀関連費用もあります。
控除対象とならない葬儀関連費用例
墓地、墓石、お仏壇等の購入費用
墓地、墓石、お仏壇等は相続税の非課税財産であるため、その購入費用は控除することはできません。
お葬式以外の法事の費用、遠隔親族の交通費等
初七日、四十九日等の法要にかかる費用は、控除することはできません。
また、遠隔地からの参列者のための交通費や宿泊費も控除できませんので注意が必要です。
香典返しの費用
香典のうち、社会通念上相当と認められるものは、贈与税が非課税となっています。このため、香典返しの費用は、控除することができません。
たとえば、お墓の購入費用は債務控除できませんが、生前中にお墓を購入してしまえば、相続税の非課税財産であるため、相続税対策となります。
ただし、お墓のための借入金や未払金は債務控除できませんので、生前にお支払が完了している必要があります。
債務控除は相続税の基礎となる金額を減らすことができる重要な制度です。相続税額に大きな影響がありますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。