ラジオ出演

「持戻し免除の意思表示の推定規定」について

レディオモモ「まかせて相続」(令和元年9月19日)」に出演しました。

ラジオ出演内容

レディオモモ

お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。

仲村要

おはようございます。
今日は、平成30年の民法改正から、今年の7月1日から施行されている、遺産分割で配偶者保護のための方策として見直しされた「持戻し免除の意思表示の推定規定」について、お話しをしたいと思います。

レディオモモ

見直される前は、どのような取り扱いだったのでしょうか?

仲村要

被相続人が生前中、相続人へ贈与を行っていたとしても、その贈与は原則として、遺産の先渡しを受けていたものと取り扱われるため、遺産分割では贈与を受けた金額を遺産に持ち戻して遺産分割をしていました。
なので、贈与を受けていた相続人の取り分は、贈与がなかった場合と同じになっていたんです。

レディオモモ

見直された後は、どんな点が、配偶者保護となっているのでしょうか。

仲村要

長年連れ添った配偶者を手厚く保護する内容となっています。
改正後は、配偶者は遺産分割でより多くの財産を取得できるようになっています。

レディオモモ

具体的にはどのような改正内容となっているのでしょうか。

仲村要

婚姻期間が20年以上である配偶者に対し、居住の用に供している自宅である建物やその敷地を、遺贈又は贈与した場合には、原則として、遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要がなくなりました。

レディオモモ

先ほどから「原則として」が必ずついていますが、何か理由があるのでしょうか。

仲村要

改正前は、贈与は、遺産の先渡しのため、遺産分割で遺産に持ち戻すのが原則です。
例外は、意思表示があったかどうか争われることが多いのですが、持ち戻し免除の意思表示があれば、遺産の先渡しとはされず、別枠で贈与があったとされていました。

仲村要

改正後は、先ほどお話しした、婚姻期間が20年以上の配偶者へ居住用不動産を遺贈又は贈与した場合に限りますが、原則は、持ち戻し免除の意思表示があったと推定されます。

仲村要

改正前は、立証が難しかった持ち戻し免除の意思表示が、改正後は、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定する規定が設けられましたから、意思表示があったかどうか立証する必要がなくなりました。
「原則として」とつけていたのは、その逆の例外があるからなんです。

レディオモモ

そうすると、改正後の例外もあるということですか。

仲村要

はい、そうですね。

仲村要

「推定」とは、ある事実関係につき、反証が成り立つまでは、それを正当と仮定することです。

仲村要

あまりケースはないのかもしれませんが、対象となった遺贈又は贈与について、持ち戻し免除の意思表示がなかった事情が立証されれば、持ち戻しの対象となってきます。

レディオモモ

婚姻期間が20年以上で配偶者に居住用不動産を贈与といえば、贈与税の配偶者控除がありますが、この贈与税の特例と比較すると何か違いがあるのでしょうか。

仲村要

贈与税の配偶者控除は、文字通り「贈与」のみです。
改正された民法は、「遺贈又は贈与」なので、遺贈も含まれます。

次に、贈与税の配偶者控除は、贈与財産が、居住用不動産のほか、居住用不動産を購入する金銭の贈与も含まれますが、改正された民法は、居住用不動産のみです。

仲村要

最後は、比較するものではないかもしれませんが、贈与税の配偶者控除は、配偶者控除枠2000万円と暦年贈与非課税枠110万円の合計2110万円までは贈与税はかかりません。贈与税がかからなくても、申告は必要です。
改正された民法は、居住用不動産であれば価格の限度枠はありません。

レディオモモ

最後に、適用要件などをもう一度お願いします。

仲村要

はい。
適用要件としては、
・夫婦の婚姻期間が20年以上であること
・配偶者に対しての遺贈又は贈与であること
・遺贈又は贈与の財産が、居住用の建物又はその敷地であること

賃貸アパートも大きな意味では居住用ですが、ここで言う居住用とは、実際に住んでいる、居住の用に供している自宅となります。

・施行日は今年の7月1日

ですから、7月1日以降に行われた遺贈又は贈与に対して適用されますが、施行日前に行われた遺贈又は贈与には適用されません。

悩まれたら、早めに専門家への相談をお勧めします。

レディオモモ

今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。

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