レディオモモ「まかせて相続」(令和3年8月19日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
相続税の申告の依頼をいただいた際、亡くなった方が生前に行っていた贈与にも相続税がかかるのですか?と、よく相談があります。
そもそも、相続税がかかる財産とは亡くなった方の亡くなった時に所有している財産を言います。
なので、亡くなった方が生前に贈与して亡くなった時に所有していない財産に相続税がかかるのはおかしいという理屈になるのですが、残念ながら相続税法では「贈与財産の加算」というものがあります。
今日は、「亡くなった方が生前行った贈与が相続税の計算上、課税財産に加算される3つのケース」をお話したいと思います。
生前贈与が相続税の課税財産に加算される場合はどんなケースがあるのでしょうか。
先ずは、亡くなった方からの贈与について、相続時精算課税制度の適用を受けている場合です。
この制度を適用するためには、この制度を適用する生前贈与があった年の翌年、いわゆる確定申告期限内に、贈与を受けた方は、贈与税申告書と相続時精算課税選択届出書などの書類を税務署に提出しています。
提出した贈与税の申告書を見れば、贈与金額が記載されていますが、その贈与を受けた金額を相続税の課税財産に加算する必要があります。
相続時精算課税制度を適用している場合には注意点があるそうですが、どのような点に注意する必要がありますか。
相続時精算課税制度を適用すると、適用した年から相続が発生した日までの贈与は、全て相続税の課税財産に加算する必要があるという点です。
要は、相続時精算課税制度の適用年が15年前の平成18年なら、平成18年以降の贈与は全て相続税の課税財産に加算する必要があるという訳です。
それでは次のケースをお願いします。
次は、亡くなった方から、教育資金又は結婚子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例を受けている場合です。
ただ、この二つの特例を受けていた場合、先ほどお話した相続時精算課税制度のように、必ず相続財産に加算するという訳ではありません。
相続が発生するまでに、贈与を受けた預金を特例要件を満たすように使い切っていたら相続財産に加算する必要はありません。
相続が発生した日に贈与を受けた預金残がある場合が問題となります。
しかし、教育資金の一括贈与は、相続が発生した時にもらった方が23才未満だったり、学校等に在学していれば加算不要です。また、平成31年3月31日以前の贈与であれば加算不要です。
なので、相続税の申告書を作成する際は、亡くなった方がこの二つの非課税制度を使った贈与をされているかどうかを確認し、贈与されている場合は、相続税の課税財産への加算額を計算する必要があります。
それでは、最後の3つめのケースをお願いします。
最後のケースは、亡くなった方から相続開始前3年以内に、暦年課税の贈与を受けている場合です。
暦年課税の贈与は110万円以下であれば贈与税の申告は不要ですが、相続開始前3年以内であれば、110万円以下の贈与であっても、相続税の課税財産への加算が必要となります。
先ほどお話があった2つのケースは、制度上もらう方の要件があったと思うのですが、暦年課税の贈与はもらう方の要件がありませんよね。
誰がもらっても相続財産に加算されるのでしようか。
贈与財産の加算で一番、相談や誤解がある点です。
亡くなった方から相続開始前3年以内の暦年贈与がある場合、贈与財産を相続財産に加算するかどうかの判断は贈与を受けた方が、亡くなった方の財産を取得しているかどうかで判定します。
財産の取得方法は、相続や遺贈による取得のほか、相続税法上、相続時精算課税制度の贈与を受けている方も含まれます。
代表的なケースとして、どんな誤解事例があるのでしょうか。
前提条件として、相続開始前3年以内の暦年贈与がある場合です。
先ずは、全く相続財産を取得しないし、相続時精算課税制度の贈与もない方です。
よくある誤解は、相続人や相続人でないお孫さんでも、3年以内の暦年贈与があれば相続財産へ加算しないといけないと思っておられる方です。
全く相続財産を取得しなければ、3年以内の暦年贈与があっても相続財産への加算は不要です。
次は、先ほどの何も取得しないケースとほぼ同じですが、亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金のみ受け取る方です。
相続税法上、死亡保険金の受け取りは、相続人であれば相続、相続人以外なら遺贈により取得したものとみなされます。
なので、死亡保険金のみ受け取った方は、3年以内の暦年贈与を相続税の課税財産へ加算する必要があります。
最後に、生命保険の契約者・被保険者は相続人でないお孫さんだけど、保険料の負担者が亡くなった方である生命保険がある場合です。
相続人でないお孫さんは、遺言書がないかぎり相続財産の取得はありません。
しかしこの生命保険は、相続税法上,
相続人でないお孫さんは、保険料負担者である亡くなった方から、遺贈により生命保険契約の権利を取得したものとみなされます。
なので、この生命保険の契約者であるお孫さんは、3年以内の暦年贈与を、相続税の課税財産へ加算する必要があります。
最後の3年内贈与加算は、代表的なケースしか紹介できませんでした。少し分かり難かったかもしれません。お悩みのある方は早めに税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。
今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。