レディオモモ「まかせて相続」(平成31年5月16日)」に出演しました。
ラジオ出演内容
お話しをお伺いするのは、相続のことならなんでもおまかせ。
税理士法人タカハシパートナーズ岡山オフィスの仲村(なかむら)要(かなめ)さんです。宜しくお願いします。
さて、今日はどんなお話しでしょうか。
おはようございます。
今日は、民法の規定と異なる、相続税を計算する際の「法定相続人」についてお話ししたいと思います。
「法定相続人」とは民法に定められた相続人のことですね。
相続税の計算で「法定相続人」は、どのような時、影響があるのでしょうか。
相続税の計算において、法定相続人の人数を基に計算を行うものは、
・相続税の基礎控除額
・相続税の総額の計算
・死亡保険金の非課税限度額
・死亡退職金の非課税限度額
があります。
相続税の基礎控除額の計算は、3000万円+600万円×法定相続人の数ですから、人数が多いほど基礎控除額が増えます。
相続税の総額の計算では、課税対象の額を、法定相続人ごと、法定相続分によって按分し、按分した各法定相続人の課税対象の額に税率を乗じ合計します。
累進課税なので、人数が多いほど課税対象が按分され、それによって税率が低くなります。
死亡保険金と死亡退職金の非課税限度額の計算は、それぞれ500万円×法定相続人の数、これも人数が多いほど非課税枠が増えます。
ですから、相続税の計算では、法定相続人とその人数がとても重要となります。
相続税を計算する際の「法定相続人」が、民法に規定されている「法定相続人」と異なる、とのことですが、どのようなケースで異なるのでしょうか。
相続人の中に、養子の方がいる場合と、相続の放棄をした方がいる場合に、相続税法では「法定相続人」の数え方が変わってきます。
養子には、普通養子縁組による方と、特別養子縁組による方がいらっしゃいますが、先ほど言いました養子の方は、普通養子縁組による養子の場合です。
それから、相続の放棄とは、相続後3カ月以内に家庭裁判所で手続きする相続放棄のことです。
相続人の中に養子の方がいる場合、法定相続人の数え方はどのようになるのでしょうか。
養子の数を増やせは相続税を軽減することができますから、相続税法では、養子を増やすことによる節税を防ぐために、法定相続人に含める養子の数に上限を設けています。
相続人の中に複数の養子の方がいる場合、亡くなった方に実子がおられる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで、養子の方を法定相続人の数に含めることができます。
例えば、実子の方が1人、養子の方が3人の場合は、民法上の相続人は4人ですが、相続税を計算する際の「法定相続人の数」は、
『さきほどの、実子がおられる場合は1人まで、ですから』、実子1人+(たす)『1人まで』の1人で、2人となります。
先ほど、養子には特別養子縁組による養子の方もいらっしゃると言われましたが、その方の場合、どのようになるのでしょうか。 相続税法では、実子と養子という表現のみで、法定相続人の数の数え方を定めていますが、特別養子縁組により養子となった方は実子とみなされます。 それでは、相続の放棄をした方がいる場合は、どのような計算になるのでしょうか。 相続税法では、相続の放棄をした人があっても相続の放棄をしなかったものとした場合の相続人が「法定相続人」となります。 民法の規定での、相続の放棄した場合の相続人は誰になるのでしょうか。 相続放棄をした場合、放棄した方は初めから相続人でなかったことになり、相続人に関する一切の権利義務は、次の順位の相続人に移ります。 次の順位とは誰のことでしょうか。 民法の規定では、配偶者は常に法定相続人となり、そのほかの方には順位が定められています。 それを踏まえて具体例で言いますと、配偶者と第一順位のお子さんが1人、第二順位の父母は既にお亡くなりになられていて、第三順位の兄弟姉妹(きょうだい)が7人いらっしゃる場合、相続の放棄がなければ法定相続人は配偶者とお子さまの2人となります。 しかし、第一順位のお子さんが相続の放棄をした場合、相続権が第三順位の兄弟姉妹(きょうだい)に移りますから、法定相続人が配偶者と兄弟姉妹(きょうだい)の8人に増えることになります。 相続税の計算は、民法の規定どおりで考えると間違ってしまうところがあるんですね。 はい、そうなんです。 今日は、税理士法人タカハシパートナーズ岡山支店の 仲村(なかむら)要(かなめ) さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
そのほか、被相続人のお子さんや養子の方が、先に亡くなっておられて、そのお孫さんが相続人となった場合、そのお孫さんも実子とみなされます。
相続の放棄があった場合、法定相続人の数が少なくなったり、多くなったりすることがありますが、相続税の計算では「法定相続人の数」は変わらないことになります。
その順位の方が先に亡くなっている時の説明は省略しますが、第一順位は、子。第二順位は、父母。第三順位は、兄弟姉妹(きょうだい)です。
配偶者と第一順位、第二順位、第三順位の方全てご存命であれば、法定相続人は配偶者と第一順位の子となります。第一順位の方がいらっしゃらなければ、配偶者と第二順位の父母となります。
この場合、相続税法での「法定相続人の数」は『相続の放棄をしなかったものとした場合の相続人』ですから、8人ではなく2人となります。
それから、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる養子は、相続税を計算する「法定相続人」から除かれることとされています。
相続税の検討をする際、「法定相続人の数」を間違ってしまうと、事後の検討が無駄となってしまいますので、悩まれたら、早めに専門家への相談をお勧めします。