不動産相続対策
取得後5年以内の貸付用不動産は時価ベースの80%評価へ。
今回は、従来型の「評価引下げを狙う」手法が通用しなくなる改正と実務対応を解説します。
「取得後5年以内」ルールの実務インパクト
実務上のインパクトを単純化した数値例を使って説明します。
たとえば相続開始の2年前に1億円で取得した賃貸マンションの場合、従来は路線価ベースで約8,000万円、さらに貸家建付地・貸家評価減を加味して約5,000万円程度まで評価を下げることが可能でした。時価1億円に対して約50%の圧縮です。
改正後は、時価をベースに地価変動等を考慮した価額になります。課税上の弊害がなく、その評価額が約8,000万円になったとすれば、従来を比べて最低でも約3,000万円の増加であり、相続税率が30%であれば約900万円、50%であれば約1,500万円の税負担が増加します。
この点、「80%だから従来の路線価ベースの評価と変わらないのでは」という誤解があります。路線価は公示価格の80%水準ですが、80%評価は取得価額(≒時価)の80%です。
時価が上昇し続ける首都圏では、公示価格よりも取得価額のほうが大きく上回ることがあります。また、貸家建付地の評価減(約18%~21%)が適用できなくなる可能性があります。そうすると、取得価額の80%にとどまる新ルールでは、評価額が大きく増加する可能性があるのです。
次に、「5年を超えれば問題ない」という理解にも注意が必要です。
一棟の貸付用不動産については5年超保有で従来型の評価が維持される見込みですが、不動産小口化商品については取得時期にかかわらず時価評価となりますので、保有期間を延ばしても評価上の恩恵は得られません。

