遺産分割がスムーズに進むような遺言を作成するためには、自宅・不動産・自社株式といった財産の性格と相続人間の公平性などを十分検討する必要があります。
また、土地活用や贈与など、生前に行うべき対策は確実に済ませておくべきです。さらに相続税がかかる場合には、配偶者の税額軽減の特例や納税資金対策も検討する必要があります。
項目別遺言書作成上のポイント
【遺言者の意思】
- 誰に何を相続させたいか
- 法定相続人以外に相続させたい人がいるか
【不動産】
- 自宅は売却せずに済むか
- 不動産が自宅だけの場合に、自宅を相続する相続人とその他の相続人との間の配慮がされているか
- 収益不動産がある場合には、相続人間で公平になるような工夫がされているか
【自社株式】
- 子が複数いる場合など、経営権の承継者は決定しているか
- 代償分割など、経営権を承継しない者へ財産上の配慮がされているか
【納税資金確保】
- 相続人ごとに納税資金が確保できるか
例えば、相続財産が自宅と現金で、相続人が2人である場合、どちらか一方が自宅だけを相続すると、その相続人は相続税が支払えない可能性がある
【相続後の収入】
- 相続財産に株式やアパート等がある場合、所得の低い人に相続させたほうが配当収入や家賃収入にかかる所得税率が抑えられる可能性がある
【相続後の不動産売却】
- 共有財産を売却した場合、要件を満たせば所有者ごとに特別控除が適用できる可能性があるため、売却予定があるのなら共有としておいた方が税務上有利な場合がある
包括遺贈と特定遺贈
遺言によって財産を無償で与えることを遺贈といいます。
遺贈には2種類の方法があり、財産の全部または財産全体の何分の1というように割合を決めて与えることを「包括遺贈」といい、あの株式は長男、この不動産は二男などと、特定の財産を指定して与えることを「特定遺贈」といいます。