事業承継とは、経営者が自信の会社や事業を後継者に引き継ぐことです。会社の場合、社長の交代だけでなく、自身が所有する会社の株式も後継者に引き継ぐことで経営権も承継させ、後継者が円滑に事業を遂行できるように検討することも大事です。
事業承継の種類
親族内承継
経営者の子供や孫などの親族に承継する方法です。家族経営をしている会社によく見られる方法で、社員等の関係者にも受け入れられやすく、早期に後継者を選定して準備がしっかりできることがメリットですが、親族内に適する人材がいなかったり、親族間で経営権を巡って争いが起こる可能性もあることがデメリットです。
承継にあたっては、株主総会で重要事項決定に必要な3分の2以上の議決権割合、最低でも普通決議に必要な過半数の議決権割合に相当する株式を承継させることが適切です。
企業内承継
共同創業者や有望な社員といった親族以外の従業員などに承継する方法です。経営者自身が後継者の資質を見極め、事業をよく知る内部の人に承継できるメリットがある一方、承継させたい人物が株式を取得するための資金力を有していない可能性もあります。
第三者承継(M&A)
親族や従業員に適任者がいない場合に、会社を第三者に譲渡する方法もあります。外部の優秀な人材に経営を託すことで、事業を継続させ、従業員の雇用も守ることができますが、そのために当事者間で経営方針等についての十分な話し合いや、取引先の理解を得るなどの入念な準備が必要です。
事業承継税制
中小企業経営者の相続・事業承継の円滑化を図り、先代経営者から後継者が非上場株式等を承継する際の相続税及び贈与税の納税猶予制度です。
個人版事業承継税制(個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予制度)
不動産貸付業を除く事業で、青色申告を行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けた者が、贈与又は相続により特定事業用資産を取得した場合は、その事業の継続など一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額が猶予され、その後、後継者の死亡等、一定の事由により、猶予税額が免除されます。
【特定事業用資産】
先代事業者の事業の用に供されていた次の資産で、事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたもの。
- 宅地等(400㎡まで)
- 建物(800㎡まで)
- ②以外の減価償却資産で一定のもの
法人版事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予制度)
後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場株式等を贈与又は相続により取得した場合は、その事業の継続など一定の要件のもと、その非上場株式等に係る贈与税・相続税の全額が猶予され、その後、後継者の死亡等、一定の事由により、猶予税額が免除されます。
【会社の要件】
この制度を受けるためには、次の会社のいずれにも該当しないことが要件です。
- 上場会社
- 中小企業者に該当しない会社
- 風俗営業会社
- 資産管理会社(一定の要件を満たすものは除かれます)