相続の知識

令和8年度税制改正大綱~不動産相続税評価の大転換③

「5年ルール」で節税スキームに終止符

令和8年度税制改正により、不動産の相続税評価ルールが変更され、「タワマン節税」といった手法が使えなくなります。
今回は、その改正内容と実務への影響、対応策について説明します。

どう対応するべきか―実務上の対策と留意点

税制改正大綱では、令和9年(2027年)1月1日以後に開始する相続および贈与から適用されることが示されています。適用開始前の令和8年中に相続時精算課税制度を活用すれば、現行の低い評価額での贈与が実行でき、変更の影響を受けないと考えられます。
ただし、露骨な租税回避とみなされるような極端な贈与については、総則6項による否認リスクが残るため、個別の判断について必ず税理士にご相談ください。
不動産小口化商品を保有している方については、節税効果が消滅することが明らかとなったため、他の資産への組み換えを検討する必要があるでしょう。
実物の不動産であれば、5年経過後は現行の評価減が使えるため、「早期取得・長期保有」という運用が求められると考えられます。
なお、既存物件のリフォームやバリューアップ工事は一般的に「対価を伴う取引」には該当しないと考えられるため、評価額を大きく上げずに資産価値や収益性を高める手段として検討する余地があります。
今回の改正は「評価方法(財産評価基本通達)」の見直しであり、「小規模宅地等の特例」自体は改正されていません。制度上、要件を満たせば貸付事業用宅地等として50%の減額を受けられるルールとなっています。
ただし、相続開始前3年以内に貸付事業を開始した場合の制限には注意が必要です。
この改正によって、5年以内に取得した不動産の相続税評価額が増額されることになり、想定していた相続税額が増加するリスクがあります。その結果として納税資金が不足すれば、不動産を売却せざるを得ない事態も考えられます。早めに相続シミュレーションを行い、再計算を行うことが重要です。
今回の改正によって、最大の節税効果を持つ不動産の活用が封じられることになりました。
相続税対策の考え方の大きな転換点となるでしょう。「5年ルール」の導入により、短期的な節税目的での不動産取得は困難になるわけです。
しかし、長期保有を前提とした賃貸経営については、依然として現行の評価方法が維持される見込みです。
令和9年1月の適用開始を見据え、資産状況の見直しと対策の検討が求められます。個別の判断については、必ず税理士にご相談ください。

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