相続の知識

M&Aで会社を売却した経営者はその後どう生きるのか①

M&A

今回は、M&Aで会社を売却した中小企業経営者の事例から、売却後に幸せになる条件
役割、人間関係、健康、資産防衛を整理します。「何をして過ごすか」を考えておく重要性と、落とし穴にも触れます。

高額売却後の老後は三つに分かれる

公的な調査でも、M&Aを実施した経営者の満足度は、約6割という高い水準にあります。
ただし、売却後の生活は、主体的に設計した人ほど、穏やかで充実した日々に着地しやすいと言われています。
筆者が経験した事例を整理すると、売却後の生き方は大きく3類型に分かれます。
第一は「完全リタイア型」です。経営の座を離れ、家族との時間、趣味、健康管理を中心に暮らします。
たとえば、都内で税理士事務所を長年運営してきた方が、体力面を理由に事務所を譲渡し、売却資金でゴルフや夫婦旅行を楽しむようになったケースがあります。
70代で売却を決断した工事関連会社の経営者は、買い手の要請で1年間だけ顧問として残った後、経営者保証の責任から解放され、仕事の緊張感はほどよく残しつつ、家族と趣味を楽しむ余暇も確保できたといいます。
第二は「ビジネス継続型」です。完全に引退せず、顧問や会長として一定期間(1~3年程度)残留し、引継ぎや経営助言を行う方が典型です。
週に数日だけ会社に通い、後進の指導や新規事業の立ち上げに関与することで、役割とリズムを保ちます。
5億円超で売却したある経営者が、週3日ほど会社に通い、若手の育成や新規事業の検討に関わりながら、次は地元の起業家支援ファンドへの参加を考えているという事例があります。
第三は「社会貢献型」です。売却によって得た資金、時間、ネットワークを社会へ還元します。エンジェル投資家として若手起業家に投資し、資金だけでなく実務的助言や取引先紹介まで行う人もいます。
NPOや地域活動に参画し、教育やボランティアに力を入れる方もいます。
特徴は、営利追求よりも「社会的インパクト」や「次世代育成」を重視する点です。売却後の肩書きとして「投資家」「メンター」「理事」といった役割が立ち上がると、孤独感の予防にもなりやすいのが現実です。
大切なのは、これらがきれいに分かれるわけではなく、混ざり合うということです。リタイアしつつ、週1回はメンターとして若手を支援する。顧問として関与しながら、地域活動にも時間を割く。自分の主軸を決め、生活のリズムを組み立てることが出発点になります。

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