毎年贈与を受けたとしても、一年間の贈与金額が110万円以下であれば贈与税はかかりませんので、比較的少額な金額を複数年かけて贈与することにより、多くの財産をあらかじめ移転することができ、相続時の税負担が軽減される可能性があります。
また、110万円を超える贈与でも少額であれば低率の課税ですみますし、贈与税を申告納税するため、贈与した証拠は税務署で保管されることになります。
ただし、相続により財産を受け取った人に対する贈与に対しては、その贈与が相続開始日(死亡日)から遡って7年以内(※)の贈与財産は、相続財産に加算されます。
このため、贈与する人も、原則として法定相続人とはならないお孫さんや、相続人の配偶者にするなどの対策も有効です。
※令和3年度の税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与について、これまで3年だった加算期間が7年に延長されました。
相続対策の具体例
父親の財産総額2億5,000万円、相続人は子供2人のみ
通常の相続税額
{(2億5,000万円-4,200万円)÷2×40%-1,700万円}×2=4,920万円
上記の試算から、贈与しなかった場合と贈与をした場合では、4,920万円-3,825万円=1,095万円の差があり、贈与により約1,100万円の節税効果が期待できます。